【ⅾ!】あなたの人生を歩みます。Ⅰ (ページ3)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:10,287 hit

それぞれの歩む道ページ3

エレノア「あなたは良いのですか？私となって生きてもらうこと･･･」

不安そうな顔で聞くエレノア。
聞いてみれば彼女は私よりも年下で、
私が歩んできた道とは大きく異なる部分がたくさんある。

まず、エレノアは王族生まれのバリバリのお嬢様。つい最近20歳になったばかり。
時期国王候補であったお兄さんがいたが不慮の事故でなくなってしまい、
本来次の国王候補はエレノアであるはずなのに、
女だからという理由だけで
他の王族にありとあらゆる方法で蹴落とされ、
両親にも見捨てられ
せめてその美しい容姿だけでも利用しようと、
他の王族や貴族に嫁ぎに行かされるか
他の国の王族に売り飛ばされるか否かみたいな状況らしい。

普通に考えて卑劣すぎる世界に生きている。

エレノアは耐えきれなくなって
自分のお屋敷の屋上から飛び降りようと悩んで
辞めようとしたもののつい足を滑らせて落下、今に至るという。

「大変だったね…」

エレノア「そんな大変な状況にAさんを生かせるのが申し訳なくて…」

その顔は本当に申し訳なさに満ち溢れていて
彼女がいかに優しい人なのかを感じ取れる。

「私も少し心配だけど、でも私の体にも生きてほしいんだ。」

エレノア「Aさんはどんな人生を歩んでいたのですか？」

エレノアにそう聞かれて私は今までの人生を思い出しながら話した。
家族のこと、最近の仕事が楽しいんだよって話。
自分には付き合っている人がいてどんなことをしただとか、
これからどんなことをする予定なんだとか。

話しているうちに

ふと

頬に温かいものが伝った。

エレノアは少し驚きながらも私をそっと抱きしめてくれた。

エレノア「みなさんのことが大好きだったんですね･･･」

「ふふっ、そうみたい。笑みんないい人たちだからさ、最初は慣れない生活に戸惑うかもしれないけど、エレノアちゃんは今まで頑張った分楽しく生きてよ。」

「Aさん。。。」

これは紛れもない私の本心だった。
元の体に戻れるならどんなによかったか。
まだやりたいこともたくさんあった。

けどそれはできない。

それなら目の前の子に自分の人生を委ねるほかないだろう。

そのあと、必要最低限のみの情報共有だけして
お互いの体に行くことになった。

エレノア「Aさんの分も必ず生きます。必ずです･･･！」

会ったばかりのころとは違う
力強い瞳で私にそう言った。

不安と新しい世界への期待を胸に

私たちは歩みだした。