【ⅾ!】あなたの人生を歩みます。Ⅰ (ページ20)

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辛い

苦しい

そんな感情が鈍るくらい目の前の現実を受け入れるのに時間がかかった。

なんなら今も受け入れられていない。

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鎖国が発表されてすぐのとある日、

両親は昼間に出掛けたまま帰ってこなかった。

どのメイドに聞いても知っている者はいなかった。

チーノさんがでていってから部屋から全くでていなかったのでお屋敷内を動き回ることがなかったけれど、よく見れば小さいころからいた執事さんや護衛さんなんかもいなくなっているのが分かる。

みんなどこに行ったんだろう。

半分諦めたような感情だった。

ふらふらとした足取りでいつものように部屋に戻る。
きっと明日の朝にでも帰ってくるだろう。私がいないところで夫婦水入らずで楽しんでいるんだわ。そっとしておきましょう。

どうせ私には関係ないことなんだから。

部屋の扉を閉め、ベッドに横になる。

目が覚めるころにはきっと帰ってきているはず。

そう考え私は意識を手放した。

･･･

はずだった。

「「ゴンッ！ガンッ！」」

鈍い音と激しい痛みに目を覚ました。

叫び声をあげるより前に顔に袋を被せられ、口元に布をあてられる。

頭とみぞおちを殴られたのだろう、血が流れているのが自分でもわかる。

「(嫌だ・・・まだ死にたく・・・ないっ・・・・)」

遠のく意識のなか必死に抵抗しようとしたものの
毒か何かを吸わされ体の力が抜けていくのがわかった。

「(まだ･･･やってない･･･っことある‥･のに･･･)」

痛みと恐怖と死にたくないという気持ちから涙があふれるのがわかった。

私の意識はそこで途絶えた。

かすかに足元に見えたのは

私のお屋敷で働いているメイドの制服の裾だった。

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次に目を覚ました時は

暗くて生臭くて何もない牢屋の中だった。

私が何をしたってんだ･･･なんで捕まってるんだ･･･。

頭の理解が全く追いつかない。

意識を飛ばす前にきていた寝間着のワンピースは血まみれでそばに捨てられ、私はこの環境に似合わなさすぎる白い布の少ないネグリジェのようなものを身にまとっていた。

丁寧に私の下には服が汚れないように赤い絨毯が敷いてある。
血まみれだったはずの私もシャワーを浴びたような良い匂いもする。

なんだかそれだけで寒気がした。