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2月になった。
私は合鍵を作った。
でも、今週篤人はとても忙がしくて会えていないので、まだ渡せていない。
1月末には、日本から篤人の応援ツアーが組まれ、たくさん女の子がやって来た。
改めて彼の人気のすごさを知って、少し気後れする自分がいる。
「すごいのね、ウッチー人気」
「ありがたいことでございます」
他人事みたいに話す電話の声は少しかすれていた。
「篤人、風邪でもひいてる？」
「いや？ ねえ、明日の夜あいてる？」
「うん」
「俺、あさってから日本だからさ」
あ、そうだった。
親善試合だって言ってた。
どことやるの？ って聞いたら、知らねって言ってたけど。
「絢子さんに冷蔵庫整理してもらうから、うちでめし食お？」
「わかった」
「絢子さんも紹介するから」
・・・実は、篤人の家に行くのは初めてだった。
もちろん絢子さんに会うのも。
どうしよう、緊張してきた。
翌日、仕事が終わり、病院の駐車場で、迎えに来てくれた篤人の車に乗り込むと、彼は、あれっと言って私を見た。
「A、今日、化粧してる？」
「…一応、いつもしてるんだけど？」
まあ、仕事柄、超ナチュラルにですが。
「じゃあ、今日はちょっと気合い入ってる？」
「フランツにも言われた。今日、なんかあるの？って」
「今日、なんかあるの？」
「初めて絢子さんに会うから、失礼のないように…、えっ？」
篤人の顔が、悪い顔になってる。
「俺と会う時より絢子さんに会うって方に気合いが入ってるって、なんかムカつく」
「なに言ってんのよ」
すると、篤人は急に顔を近づけてきて、
「口紅なんか、取ってやる」と言って、唇を重ねてきた。
こんな、病院の駐車場で、いくら暗いとはいえ誰が見てるかも解らないのに！
「こら、やめなさいって！」
渋々車を出す篤人は、ほっぺたが膨らんでいた。
・・・可愛いいの。
見慣れた街並みを通り抜けて、やがて私の家の前も通り過ぎる。
篤人の家もこっちの方なんだ、と思ったら、車はすぐに停まってしまった。
「…え？ ここ？」
「そ。びっくりした？」
「した」
篤人の家は、私の家から車で5分もかからないような近さだった。
「今まで、この辺のスーパーとかで、会わなかったのが不思議！」
「会うわけないよ、俺、買い物行かないし」
ほら、降りて、中入って、とうながされる。
私は篤人にだめにされた口紅をちょっとだけ直してから彼にハンカチを渡して、
「口紅、付いてるよ」
と言って、ニヤッと笑った。
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馨子(プロフ) - さゆさん» さゆ様、初めまして。ｺﾒﾝﾄありがとうございます。こちらのお話は、半年近く前に一応完結しているのですが、私もたまに、あのふたり、今頃どうしているかなと考えたりします。楽しんで頂けたようで良かったです。今後も宜しくお願い致します。 (2014年5月1日 15時) (
レス) id: f72e0ba777 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - すごく面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。キュンキュンきて、もう終わっちゃったーと残念です。続きが読みたくてたまらないです(笑) (2014年5月1日 14時) (レス) id: 6fd6da2112 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - ManAさん» ManA様、いつもありがとうございます。楽しんで頂けて良かったです。嬉しいです。新作も頑張ります！ (2013年12月3日 2時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
ManA(プロフ) - 最後まですごく楽しく読ませていただきました！本当にｷｭﾝｷｭﾝでした笑笑また新しく更新されるの楽しみにしてます☆ (2013年12月3日 0時) (レス) id: 669658a306 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - りくさん» りく様、ｺﾒﾝﾄありがとうございます。最後までお読み頂いた事、感謝致します。今日の試合はご覧になりました？篤人さんが出なかったので少々消化不良気味ですが、勝ったので良しと致しましょう。新作、頑張ります。またのお越しをお待ち致しております。 (2013年11月20日 14時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馨子
| 作成日時：2013年10月17日 17時
