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あの夜、いや、あの朝、私達は《出来上がった》のだろうか。
夜の間に降った雪に、反射する日差しが射し込むキッチンで、寝癖と素っぴん、ジャージとスウェットという色気皆無の格好で、お互いの気持ちを確認したけれど。
流し台の上に座らせた私を、そのまま篤人は子供にするように縦に抱きかかえて寝室へ連れて行ったけれど。
でも私はいきなりの急展開に怖じ気づいて、恥ずかしくて、拒んでしまったけれど。
「あ、篤人、待って！」
「ヤダ」
私をベッドに下ろした篤人の肩を押し戻す。
華奢な篤人のどこにそんな力があったのかと思うほど、私の身体を軽々と抱き上げてしまった彼に、男の子ではない、男の顔を見た気がして、少し怖くなったのは内緒。
「ヤダはこっちのセリフ！」
眉間に皺を寄せて私を見ている。
その顔は私の好きな顔だけど、
でも・・・。
「…こんな、いきおいだけみたいなのは嫌だし、…ねえ、私達、こんなことするの、何回目？」
口を尖らせている篤人は可愛い。
「…初めてじゃない？」
「そうよ？ なのに篤人も私も、ゆうべお風呂にも入ってないじゃない！ そんなの絶対嫌だから」
「ぶっ」
篤人が吹き出す。
なんで、笑うのよ・・・。
「じゃあ、お風呂入ろう♪」
私の手を引く。
私は全身に力をこめてその場に踏ん張る。
「そうじゃなくて！」
そうじゃなくて。
あーもー、泣けてくる！
「…A、必死だな」
と、笑いながらベッドに腰掛けると、篤人は、立ったままの私を引き寄せて、お腹の辺りに顔を押し付ける。
「必死なのは俺の方か？ ちょーカッコ悪いんだけど」
そっと篤人の髪を撫でる。
「…別に、したくないって言ってる訳じゃなくて…」
落ち込む篤人に悪くて、落ち込む篤人が可愛くて、ついそんなことを言ってしまったら、篤人はニヤッと笑って私を見上げた。
「ふーん、Aは、したいんだ」
ニヤニヤしながら立ち上がる。
もうやだ・・・。
ほんと、やだ！
「ごめんごめん」
私の頭を撫でながら篤人は寝室を出て行く。
｢帰るわ。今日は諦める。アレも持ってないし」
あ、アレって・・・。
「ま、お楽しみはまたの機会にっつーことで〜｣
そして、ケラケラ笑いながら、
「ねえ、俺のメガネどこよ？」と、言った。
「知らないっ！」
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馨子(プロフ) - さゆさん» さゆ様、初めまして。ｺﾒﾝﾄありがとうございます。こちらのお話は、半年近く前に一応完結しているのですが、私もたまに、あのふたり、今頃どうしているかなと考えたりします。楽しんで頂けたようで良かったです。今後も宜しくお願い致します。 (2014年5月1日 15時) (
レス) id: f72e0ba777 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - すごく面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。キュンキュンきて、もう終わっちゃったーと残念です。続きが読みたくてたまらないです(笑) (2014年5月1日 14時) (レス) id: 6fd6da2112 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - ManAさん» ManA様、いつもありがとうございます。楽しんで頂けて良かったです。嬉しいです。新作も頑張ります！ (2013年12月3日 2時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
ManA(プロフ) - 最後まですごく楽しく読ませていただきました！本当にｷｭﾝｷｭﾝでした笑笑また新しく更新されるの楽しみにしてます☆ (2013年12月3日 0時) (レス) id: 669658a306 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - りくさん» りく様、ｺﾒﾝﾄありがとうございます。最後までお読み頂いた事、感謝致します。今日の試合はご覧になりました？篤人さんが出なかったので少々消化不良気味ですが、勝ったので良しと致しましょう。新作、頑張ります。またのお越しをお待ち致しております。 (2013年11月20日 14時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馨子
| 作成日時：2013年10月17日 17時
