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「冗談じゃないんだけどな」
笑ってる篤人は、また例の首を傾げる仕草。・・・可愛いけどね。
可愛いけど、まだ、鍵はあげられない。
「急かしてないって言ったじゃない・・」
ソファーでゴロゴロしなからニヤッと笑う。
天使みたいに笑うくせに、時々悪魔みたいな悪い顔が覗くから、ハッとする時がある。
見た目に騙されてはいけない。
きっとこの人、中身はブラックなのだろう。そして、そのギャップに魅了されるのか。
名前は。
仕方ないから、しばらく前に内田さん、は止めてあげた。
で、内田くんやら、篤人くんやら、色々呼んでみたけれど、ついには篤人、以外には返事をしなくなってしまった。
でも、「篤人」と呼べば、ニコニコと私を見る。
ほんと、怒らないでほしいんだけど、可愛いと思う。
やっぱり天使か？
うつ伏せでソファーに寝転がるその背中には、もしかしたら、羽根が生えているかもしれない。
そして、年末も近くなり、篤人は日本へ帰り、私はドイツにいる。
仕事は忙しく、自宅でもPCに向かう日々。
クリスマス一色の街を横目に、あっという間に時間は過ぎる。
ひとりで年越しの私を見兼ねて、指導医のフランツがクリスマスに自宅へ呼んでくれることになっていた。何度か会ったことがある彼の2人の息子は、 本当に可愛くて、特に下の4歳の男の子は私の事がお気に入りだって。
私の膝の上から動かない。
サッカーが、シャルケが好きで、特に、
『ウッシーが好き！ 小さくてもすごいんだよ』だって。
だから、クリスマスプレゼントにあげようと、帰国前に篤人にユニフォームにサインを頼んだ。
今度、試合観においでって言っといてと、快く書いてくれた。
小さなシャルカーに伝えると、とても喜んだ。
フランツの家庭の温かさに触れて、何だか私はさみしくなったような気がした。
この前篤人に言われた事を、また考える。
逃げるな、とか、見ろ、とか、パスを出すだけ出しておいて、自分は日本へ行ってしまった。
なんなんだ、これは。
よく解らないが、もやもやする。
解っているのは、篤人に会いたいと言う事。彼は今、遠くにいるという事。
人と関わるのが煩わしいとか、ひとりが好きだとか、これまで私が感じていた孤独やさみしさは、あんなものは、本物ではなかった。
彼を知った今となっては、あんなもの本物ではなかった。
こんな気持ちをさみしいと呼ぶことを知った。
ひとりで生きて行けると思っていた私は、なんと愚かだったのか。
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馨子(プロフ) - さゆさん» さゆ様、初めまして。ｺﾒﾝﾄありがとうございます。こちらのお話は、半年近く前に一応完結しているのですが、私もたまに、あのふたり、今頃どうしているかなと考えたりします。楽しんで頂けたようで良かったです。今後も宜しくお願い致します。 (2014年5月1日 15時) (
レス) id: f72e0ba777 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - すごく面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。キュンキュンきて、もう終わっちゃったーと残念です。続きが読みたくてたまらないです(笑) (2014年5月1日 14時) (レス) id: 6fd6da2112 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - ManAさん» ManA様、いつもありがとうございます。楽しんで頂けて良かったです。嬉しいです。新作も頑張ります！ (2013年12月3日 2時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
ManA(プロフ) - 最後まですごく楽しく読ませていただきました！本当にｷｭﾝｷｭﾝでした笑笑また新しく更新されるの楽しみにしてます☆ (2013年12月3日 0時) (レス) id: 669658a306 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - りくさん» りく様、ｺﾒﾝﾄありがとうございます。最後までお読み頂いた事、感謝致します。今日の試合はご覧になりました？篤人さんが出なかったので少々消化不良気味ですが、勝ったので良しと致しましょう。新作、頑張ります。またのお越しをお待ち致しております。 (2013年11月20日 14時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馨子
| 作成日時：2013年10月17日 17時
