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パク
「このケーキ、甘くないですね」
ケーキを食べてみての感想を正直に伝えた。
「はい、だって甘く作っていませんから。」
また適当なことをいって甘くないことを
意味深にさせる伊野尾さん。
「どうして甘く作らないんですか？他のケーキは甘いのに。」
私の質問に伊野尾さんは少し迷ったのか、間を置いて答えた。
「人生、甘くないですよ。」
「深い…」
・
私がそう呟くと伊野尾さんはずいっと私に近づき、距離を縮めた。
「っな、なんですか」
心臓がとくとく、と音を立てる。
「このmoonのほうが深いですよ」
「え？」
伊野尾さんの吐息がかかる。
「このmoonというカクテルには意味があります。
意味は...
.
月が綺麗ですね。」
「それって...」
.
夏目漱石言ってたやつだよね...ええと意味は...
意味は...?
.
私がこの意味には気付くことはない。
『I love you＿＿』
そう呟いた伊野尾さんの声に気付くこともきっとない。
＿＿fin
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作者名：白雪姫 | 作成日時：2016年8月18日 16時
