12piece ページ12
『いってぇ!!』
俺はどこかの大きい庭にいる。
その大きい庭でバラを見ていた俺は、案の定棘が指に刺さった。
『うわ、大ちゃん大丈夫?怪我してない?』
まただ
また、あの"誰か"が出てきた。相変わらず顔には靄がかかっていて見えない。
前よりも靄は薄くなっている気がするけれどあと少しというところで見えない。
『もう、あれだけ触っちゃだめだよって言ったでしょー』
『だって、綺麗だったんだよ!』
『綺麗なものには棘があるの。だめだよ?いい?』
そう俺に注意した"誰か"は(人1)さんに重なって見えた。
『こんなに綺麗なんだぜ、いつか枯れるだろ』
『大ちゃんの言う通りだね…じゃあ大ちゃん、写真撮ろうよ』
"誰か"はどこからか高級そうなカメラを持ってきた。
あれで撮るに違いない。
『大ちゃんもう少しくっついてよ、これじゃあ薔薇写らないよ』
『うっせーな十分近いし』
"誰か"との距離が近づいて肌が触れあうたびに
ドキドキしている自分がいた。
ああ、俺、この人のことが好きなんだろうな。
なんて客観的な意見だろう
自分のことなのに他人事のように思う。
それはきっと、俺の見た目が幼いからだろうな。
この見た目だと…5才?
『よし、撮れた!みてみて、こんな感じになってるよ』
その人はカメラの画面を俺に見せてきた。
『いいな!俺、その写真一生自分の家に飾る!』
『じゃあ私もそーするー!』
信じられない。
幼いころの俺は楽しそうだけど、今の俺には驚愕の出来事だった。
だって、
その人に見せてもらった写真は、
(人1)さんの部屋に飾ってあった写真と全く同じものだったのだから。
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作者名:白雪姫 | 作成日時:2016年8月11日 15時