過去への扉 ページ25
机に身を乗り出したわたしの首に、執拗に噛み付く姉。こういうことをされるのが、ほとんど1週間以上ぶりなので、以前よりも身体が敏感になっている。
執拗なのも、その空白期間のせいかもしれない。
「A、大丈夫？」
「A！こうなったらセカイに…！」
「それだ！それがいいよ！」
なぜかわたしよりも焦る3人の声が、画面から聞こえてくる。
「Aが眠たいみたいだから、もう寝るね。日曜日の件はまた連絡する」
瞬間的にわたしから離れた姉がそう言って、止める声も聞かずにナイトコードをログアウトした。
「…結構強引なんだね」
「早くAが欲しいから」
「わたしは本当に眠たいんだけど」
「寝かせると思うの？」
薄く笑んでわたしの手を引く。
抑えきれない期待感を見ないフリして、渋々従う体を装う。
姉が1週間ぶりなら、わたしも1週間ぶりなのだ。姉に求められるまま応じ続けて数週間。わたしは姉の色に染められつつあった。
それを表立って認めるのは、まだできないけれど。
＊
終わる頃には身体が重くて、目を閉じるとすぐに寝入ってしまいそうだった。
まぶたが閉じかけた時、隣で横になっていた姉が口を開いた。
「A、この間のことだけど」
「うん？」
「私がAを救えるような曲を作る」
「曲…？」
そこで姉から、奏のことを聞いた。奏は姉を自分の作る曲で必ず救うと言ったという。だから、姉にはわたしを救う方法は、曲を作ることしか思い浮かばなかったらしい。
「時間がかかると思う。私に人を救えるような曲を作ることなんて、できないかもしれない。でも、それでAが救えるなら、絶対作ってみせるから」
正直、姉の今の言葉で少しだけ心が軽くなった気がした。姉はこんなわたしのことを、ここまで考えてくれている。
なら、期待してもいいのだろうか。
「ありがとう。お姉ちゃんの作る曲、楽しみにしてる。わたしに手伝うことはある？」
「4年前に何があったのか話してほしい」
いつか聞かれることは、薄々分かっていた。
これが避けて通れないことも。
「…わかった。でも長くなるよ」
「明日は祝日だからいいよ」
「そうだね…あれは4年前の夏のこと」
全てが変わってしまった、あの夏の出来事。
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ぱっちぇ(プロフ) - 更新待っていました！またゆっくりと更新して下さい、楽しみにしています✨ (4月25日 2時) (
レス) @page29 id: 610abc998d (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 朝さん» コメントありがとうございます！いま、実生活が忙しいので、更新もう少し後になるかもです…落ち着いてきたらまた更新するので気長に待っていてください！ (2022年2月16日 16時) (レス) id: bd2a1697dc (このIDを非表示/違反報告)
朝 - 続き待ってます！ (2022年2月15日 22時) (レス) @page28 id: ceafdc132b (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - hosiyomi_jojiさん» 待っていていただいて、こちらこそありがとうございます！頑張りますね！！ (2021年11月14日 17時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
hosiyomi_joji(プロフ) - 待ってました！！終わるまで読むので頑張ってください！面白い作品をありがとうございます〇┓ﾍﾟｺｯ (2021年11月14日 17時) (レス) @page27 id: a5ca2a1311 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪柳 | 作成日時：2021年4月14日 11時
