襲撃と姉 ページ45
「先シャワー浴びてこいよ。シャンプーと石鹸使って良いからなー」
「うん、ありがとー」
そして、一通り寝る準備まで整えると、ほのおが海図を広げているところだった。
「お風呂ありがと。気持ち良かったよ」
「そうか、ゆっくりしてけよー」
ほのおは嬉しそうに笑って、海図を畳んだ。
「部屋はそっちな。私はしばらく起きてるけど…ま、疲れてるだろうし、寝てていいからな」
「ほのお姉ちゃんが上がってくるまでは待ってるね、海図見ていい？」
「おう、ちょっと雑だけどな」
じゃあな、と手を上げてほのおは浴室に消えた。
あかりは畳まれた海図を広げた。
ほのおらしく、雑な字だが沢山並んでいた。
何を言うわけでもなく、ただ眺めていた。
ランプが揺れる船室はやけに静かで、シャワーの音が遠くで聞こえる。
「…！」
どくん、と心臓が跳ねた。
慌てて外へ飛び出た。
暗闇の中、眩しいほどのランプが目の前を襲った。
「…？」
腕で影を作りながら相手を確認する。
だいぶ大きな船だ。
ほのおの船がガタガタ揺れる。
乗り移ってきたか…？
あかりは見聞色を発揮して、敵の気配を探る。
「っは！」
後ろから近づいた男の首を正拳で突く。
武装色で刀も弾き、銃弾は船に当たらないように交わして軌道をずらした。
「ぷっ…なんだ、乗り捨てられた船じゃなかったか」
眩しくてよく見えないが、上から声が聞こえた。
「女が一人…と、船が二隻だな。回収しろ」
ガガガガガ、と機械的な音がしたと思ったら、上からアームのようなものが降りてきていた。
あかりは一瞬固まり、そして船を蹴ってアームに飛び乗った。
「壊すね、これ」
ニッ、と笑った。
そして、硬化した腕で、アームの繋ぎ目を力一杯殴った。
するとピキピキひびが入ってパキンッ！と砕け散った。
「あっ、ほのお姉ちゃんの船に！」
破片が飛びそうになって、急いで飛び降りた。
そこへ、ごうっ、と炎の渦が巻いた。
「あかり！危ねぇことしてんじゃねぇ!!」
力強く、よく通る声が下から聞こえた。
「あはは、ごめん」
手を合わせて眉を八の字に曲げてあかりが謝った。
ほのおの髪はまだ濡れていて、いつものワンピースではなくて、短パンタイプのパジャマだった。
「もっと甘えろっての。シャワー浴びてても扉ノックぐらいしろ、そんなじゃ怒んねぇし」
「…わかったよー」
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作者名：剣山おんがく x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 19時
