驚きの報せと新たな決意 ページ43
「あ。…私、死んでる」
あかりが船を調達するために寄った島で新聞を見かけた。
ニュースクーが何かを感じて少しまけてくれた為、お財布に優しく手に入った。
「これは間違いなく私なんだけどなぁ〜…」
のんびりしてられない、と必要なものを買ってそそくさと島を発った。
海鳥の鳴き声がひとり旅の始まりを告げた。
……――――
それから数日。
珍しい黒い船が進行方向に見えた。
「ん？…あれは」
帆を張って、その船に向かって走った。
「ほのお姉ちゃん」
「おーう、あかりか。あれ？お前…死んだんじゃなかったっけ」
「うーん、あれは…知らないね。私は生きてるよ。…でも、ゼルネアスは本当」
しかし、それについてはほのおは特に何も言わなかった。
「んー、ま、判ってたけど。ゆき姉ちゃんの時もなんとなくわかったんだよ。ゾクッと変な…冷気っぽいのを感じてさ。…今回はそんなのなかったしな。だから、あかりは大丈夫だと」
「へ、へぇ…」
「せっかくだしコーヒーでも飲んでくか？船は後ろに縛り付けとけよ」
「あ、ありがと」
こっち、とほのおが向かう方向に船を寄せ、ロープで縛り付けた。
ぴょんとほのおの船に飛び移り、ほのおの後をついていった。
「それにしても…よくあんなところ行ったな。あかりならどうだろうなとは思ってたが。まさかな」
あかりがほのおの船室にお邪魔すると、ほのおは手際よくコーヒーの準備を進めていく。
「色々聞かせてくれよ。あぁ、あと皆にも連絡するか。電伝虫で連絡できるだろ」
「うん。ふぶき姉ちゃんは知ってる。私を止めてくれたから」
お湯を沸かす手を止めて、ほのおは振り向いた。
「黒ひげ相手か」
「そうだよ。なんか、落ち着いていよう、って思ってたのに、本人前にしたら全然無理な話で。ゆき姉ちゃんとサッチ隊長のことで頭がいっぱいになっちゃった」
失敗、と悲しく笑うあかりをほのおはじっと見つめた。
その目はいつもより鋭くない。
追及より、あかりから答えを待っているようだった。
「…穏やかに話せるまで待つ。まだ火は消えてないしナイフのままだろう。落ち着いて、ゆっくり話を聞きたい」
「うん…。ありがと」
ほのおは満足げに微笑んで、ポットのお湯を注ぎ始めた。
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作者名：剣山おんがく x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 19時
