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津波 ページ36
あかりは海へ近いところへ行き、見渡した。
サァ……と波が寄ってきた。
{どうした？}
「……“なみのり”で、あの船を、流してくれる？」
優しい声であかりが言う。
全員が乗ったのを確認し、アイルが“なみのり”を発動した。
ザブンと大きな船がこれまた大きな波で流される。
そして、いつの間にか見えなくなった。
「余計なことをしよる……」
近いところで、サカズキが腕をグツグツと音をたてながら、怒っていた。
あかりはそれを横目で見ながらアイルに微笑んだ。
「ありがとう……。ごめんね、こんなことにまで付き合わせて。
本当にごめんなさい。
帰って……お願い」
申し訳なさそうな顔のあかりにアイルは困ったように訊いた。
{ずっと潜ってても駄目か？}
「うん……ごめん、後で必ず帰るから。お願い……」
そこでアイルは折れ、帰ることにした。
{わかった。……俺の事は気にするな、頑張れよ}
「うん、ありがとう。じゃあ、ね、気を付けて」
{あぁ}
アイルが見えなくなる程深く潜ったのを見送って、あかりが振り返る。
「さぁて……誰から片付けようかな」
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作者名：剣山おんがく x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 19時
