ぎぶみー！チョコパーティ ページ9
2月14日、ついにやってきたバレンタイン当日。
大勢が集まるには少々手狭な暁人の家で、いつものようにボーダーメーカーたちの定例報告会が行われていた。
「夜の見回りはまだまだ寒い時期が続くから、風邪とかには十分気をつけてほしいナ。それじゃ、今日の報告会は終了だナ！」
リビングテーブルの上で赤マントは微笑んだ。皆がほっと一息ついたのを見回した彼は、頃合いを見計らって軽く咳払いをする。
「さて……みんな、バレンタインにわざわざ集まってくれてご苦労だったナ……というわけで、ボクからみんなにちょっとしたお菓子を用意したから受け取って欲しいんだナ！」
そう言うと、赤マントは学のリュックに忍ばせていた大きな紙袋を取り出した。テーブルの上にざらりと中身を広げると、わっと皆が群がってくる。
「お、赤と青の２色の袋か！お前らしいな〜」
「好きな方を選んでほしいナ。選んだ色に応じて殺したり中身が違ったりはしないからナ〜」
「なら私は赤にしよう。……ローザの分も赤にしておくか。バラが好きなら赤も好きだろうし」
「あーっ！赤は儂の色じゃぞ！全部取られる前に確保せねば！」
「そ、そんなムキにならなくてもちゃんと全員分あるっすよー！」
銘々が好きに袋を取っていく中、赤マントはひっそりと車掌さんに赤い袋を手渡した。お菓子を楽しむボーダーメーカーたちから一歩引いていた車掌さんは、きょとんとした様子で袋を見ていた。
「ハイ、確か甘いもの苦手って言ってたよナ？車掌クンへは甘くないおやつを用意したからナ」
「え、いいの？えへへ、ありがと〜」
袋の中身は手巻納豆という変わり種のおかきだった。車掌さんは、さっそく一つ口に放り込んだ。
「あ、ごはんなしの納豆巻きみたいな味でおもしろ〜い！……そうだ、人混み苦手って来てないけど、佳澄のぶんも持って帰ろっと」
彼は青い袋を一つ手に取ると、満足げに微笑んだ。
おおむね全員にお菓子が行き渡ったのを確認した赤マントは、テーブルの上に戻って明るく言った。
「さてさて……バレンタインだし、みんなももしお菓子とか渡したいモノ持ってきてたら、遠慮なく言ってくれよナ〜！ボクもチョコいっぱい欲しいしナ！」
ラッキーカラー
あずきいろ
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