パーティーの支度 ページ4
三丹学の部屋で、散らばったチラシを片付けていた赤マントの目に一枚のチラシが飛び込んできた。近所のケーキ屋のバレンタインに向けたチラシのようだ。
「フム……今年もバレンタインのお菓子パーティーの準備する時期かナ？」
「パーティーっすか？」
チラシを覗き込んできた学に、赤マントはぴょこんと飛び乗ると部屋のカレンダーに目をやった。
「去年もやったお菓子の交換会みたいなモノなんだけどナ、学クンとか新入りで今年が初めてな子も結構いるよナ」
「クリスマスとか新年にもパーティーやってなかったっすか？ピザパもやりたがるし、赤マントさんってパーティー好きっすよね！」
「ウン、なんてゆーか、みんなで集まってワイワイするのが好きなんだよナ。それに、ちゃんとご飯とか食べてくつろいで欲しい老婆心テキなのもあるかもナ」
そう言いながら、赤マントはチラシの裏に必要な物を書き出していく。定例報告会のついでにお菓子交換会、人数分のチョコと甘いものが苦手なヒト用のスナック菓子用意…などなど。
「みんなにメッセージカードでも書こうかナ？」
「あれ、バレンタインって女の人から男の人にお菓子贈る日っすよね？師匠は男だし貰う側じゃないんすか？」
「……ぶっちゃけヒトじゃないから性別なんて無いようなモノだし、誰かを想うキモチがあるなら贈るのに性別なんて関係ないんじゃないかナ？」
「それもそっすね……そうだ！自分もなんか手伝いたいっす！なんか手伝えることないっすか？」
「そうだナ……じゃ、おつかいでも頼もうかナ？」
赤マントは新しいメモを一枚ちぎると、さらさらとお使いメモを作る。そして、どこからともなく取り出した小銭と共に学に手渡した。
「ハイ、頼んだからナ！」
「えと、師匠……このお金ってどこから持ってきたんすか？」
「ア、これ？都市伝説の中には人間から色々貰っちゃうタイプのヒトもいるからナ……例えばこっくりさんとかナ。実はボーダーメーカーの活動資金ってそういうとこから出てるんだよナ」
「そんな事情が……ま、行ってくるっす！」
「いってらっしゃーい！」
颯爽と出ていった学を見送った赤マントは、彼のスマホが残されているのに気づいた。
「マタ忘れ物してるナ……」
仕方ない、とスマホを手に取ると、勝手にロックを外して仲間たちに連絡を送り始める赤マントであった。
ラッキーカラー
あずきいろ
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