都市伝説たちのバレンタイン【派生作品】 (ページ12)

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一匹狼のキミヘページ12

バレンタインの夜のこと。
白玖が気分転換に雪とボードゲームをしていると、誰かが家のインターホンを鳴らした。

「誰だ、こんな時間に……」

渋々家の鍵を開けると、玄関先にいたのは暁人だった。何やら袋を手にしている。

「よっ、夜中にごめんな〜。今日の報告会、来てなかったろ？」

「……いつものことだろ」

「それもそうか。今回はみんなにお菓子配ったりしたから……はいこれ、お前と雪の分。二人で仲良く食べろよ」

暁人はお菓子の詰まった袋を手渡すと、さっさと帰っていった。
他人とワイワイするのが好きではない白玖への配慮かもしれないが、それはそれで鬱陶しいなと感じながらも部屋に戻っていく。すると、怪訝そうな顔で雪が待ち構えていた。

「さっきの、誰？」

「三島だよ。なんかバレンタインのチョコだってさ。別に良いのに」

「へぇ……」

中身はクッキーにパウンドケーキ、ジップロックに入ったチョコの破片などバラエティ豊かである。どれも偶数個ずつ入っていて、その一つ一つに送り主の名前と「海蓮へ」「雪の日2年4組へ」といったメモが添えられていた。

「ご主人様以外からのプレゼントなんかいらないよ！」

「俺も正直お菓子はな……ああ、この辺のならどうだ？」

白玖は菓子の中から都市伝説たちからの贈り物をより分け、雪の方に渡した。

「都市伝説の連中も、チョコ用意してるみたいだぞ？」

「それならいいや。後で食べてお礼しよーっと」

より分けられたお菓子を抱え、雪はあることを思い出した。

「あ、そうだ！今日バレンタインなんだよね？ご主人様にプレゼントしたいものがあるんだ！」

雪はとてとて走っていくと、部屋の隅に隠していたプレゼントを取り出した。細いシルバーのチェーンでできたネックレスで、飾りとして制服のボタンがついている。

「これは？」

「この前バレンタインのチョコをくれたお返し！……大切な人には制服の第二ボタンをあげるって聞いたから……えっと、気に入らなかったら、捨てちゃってもいいよ」

「……なんか意味が違うような気もするが……うん、ありがとな。流石に普段使いするのは重いから、大切にしまっとくよ」

白玖は雪を抱きしめると優しく頭を撫でてやった。