10、よかった。 ページ10
「赤髪さん……？」
「ここの人たちは…俺の記憶を探しているんですよね」
「……」
「無理だろうなあ」
ふふ、って笑う赤髪さんは、
泣いていた。
「あ、かがみ、さん……」
予想以上に戸惑ってしまう。
「なんで…」
赤髪さんは、自分の目頭に触れると、ちょっと驚いたように声をあげた。
「更年期かな…」
「…」
「ごめんなさい、大丈夫です」
「いや…」
赤髪さんは、忘れちゃいけなかったのかもしれない。
＿＿＿私は、そう思っちゃいけない。
過去の話すると、涙流す。
そう、走り書きで手元のレポートに記述した。
「俺の時間は、あの日から止まってます。もうあれから……数年経ったみたいだけど……」
「ごめんなさい、赤髪さん。余計なことを話させてしまって」
「……」
ただ、１点を見つめている赤髪さん。
鉄格子に手をかけ、右手を赤髪さんの頬に添えた。
あったかい。
「…！」
「赤髪さんが、ここに来てくれてよかった。赤髪さんには、戸籍も、記憶も、家族もないけれど、１人だけ、あなたのことを覚えてくれる他人がいるから」
「Aさ……」
・
「生きるって……こうやって、誰かに触れられるってことなんだ」
・
触れるとあったかくて、あ、自分もあったかいんだ、って気付けるから。
だからこの人は、暗殺者じゃないよ。
「…」
唖然としてる赤髪さんに、笑いかけた。
「じゃあ、赤髪さん、またあした」
「ちょっと、待っ…」
「お疲れ様でした」
涙を拭って、きらきらした瞳をこっちに向けられると、
くそぅ、胸がきゅーっとなる。
恥ずかしくなって、逃げるようにその場をあとにする。
大丈夫、明日には忘れてるんだから。
「A！！」
螺旋階段を登っていると、上からポッキーさんが駆けてきた。
「え」
今、ポッキーさんは授業中のはずなんだけど。
「大丈夫、無事！？なんともない！？」
「え、はい、見ての通りです」
誰から見てもピンピンな私。
「そう？そっか……よかった」
「どうしたんですか、急に」
「なんか、Aが実験体さんと接触しているきがした」
「……」
「Aからなんてあるわけないから、実験体さんが何かAになんかしたのかなって」
あ、すみません、Aからです。
「ちょっと頬に触ったけど……あれだよ、体温計った」
「……」
「ポッキさんこそ、今授業中でしょ？」
僕は本来授業なんて必要ねーんだよっ！
ポッキーさんはケラケラ笑った。
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サンゴ(プロフ) - すごい！もうほんとすごい((語彙力))更新、頑張って下さい！！ (2017年12月7日 19時) (
レス) id: 7fba23456b (このIDを非表示/違反報告)
たつどし(プロフ) - この物語のストーリーについ惹き込まれてしまいました！登場人物の表情や細い動作がわかりやすく読みやすいです！！ 更新停止となっていて少し寂しいです…プレッシャーをかけるつもりはありませんが、また更新を再開して下さるのを期待しています。色々頑張って下さい (2017年5月8日 2時) (レス) id: 15219600b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - コロボックルさん» ありがとうございます！！励みになります頑張ります(((^-^))) (2016年10月18日 22時) (レス) id: e3490e59f8 (このIDを非表示/違反報告)
コロボックル - ポッキーさんと赤髪さんの小説が読めるなんて!更新頑張ってくださいね!! (2016年10月18日 7時) (レス) id: baeee8abc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2016年4月7日 0時
