９、90分 ページ9
＊
「気分はどうですか？」
「普通です」
「体に何か変化は？」
「たまに視界がぼやけることがあります」
「寝つきは」
「普通です」
「それ以外に何か」
「特に……」
また自己紹介を終わして、ポッキーさんに頼まれたデータとり。
「Aさん……俺と話してくれるひと……」
赤髪さんはメモを見てぼーっとしてる。
薬の投与から、まだ特に変化はない。
「Aさん、趣味はありますか」
昨日と同じ質問。
「あなたと話すことです」
「へえ、ふぅん、そうですか」
メモには書かない。
「俺はここに来てから……何日目ですか？」
「…私と話すようになってから、三日目です」
「三日目……」
「今日、あなたの脳の薬の投与が始まりました」
「へえ……」
赤髪さんは何も分からないまま、なんにも無い周りを見渡している。
メモの壁には、真ん中に大きく、��俺の記憶は90分しかもたない。"
「今は何年ですか？」
「2016年です」
「………」
「そうですか」
「……どうしました？赤髪さん」
「いや、別に……」
あ、そうか。
「赤髪さん、そういえば…赤髪さんの記憶がもたなくなった理由と、殺し屋になった話のことは……」
闇を飛び回る、謎の暗殺者。
彼も昔、普通、だった。
赤髪さんの世界は、殺し屋になった瞬間から、進んでいない。
朝目覚めると共に、自分が殺し屋であることを確認し、でも今、自分のおかれている状況と、この檻を見て、悟る。
自分の人生は90分だって。
「……どうしたんですかー？」
動きを弱めるために、毎日注射をされているという赤髪さん。
このほんわかした笑顔と声は、そのせいだろうか。
「いえ、やっぱりなんでもないです」
「Aさん、俺、いくつに見えます？」
「え、ん？」
急に言われて、ばっと赤髪さんの顔を二度見。
すっと高い鼻。ふわふわの髪と、涙袋、よく見ると筋肉質な腕と脚。
「…二十代、だと思いますけど……25、6かな……」
なんて、ちょっと適当。
「でも急に、どうして」
「俺の記憶が消えたのは、22のときなんです、たぶん」
「…え」
ぺたぺた、赤髪さんは私に寄ると、頭をくるくるさせた。
「殺し屋になったのもその時……しかもうろ覚え……どうせ脳にこれしか詰まってないんだから、もっと鮮明に記憶してほしかったなあ」
「それまで、俺は……日本にいました」
チャラ、って足の鎖を鳴らすと、赤髪さんはこっちを見た。
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サンゴ(プロフ) - すごい！もうほんとすごい((語彙力))更新、頑張って下さい！！ (2017年12月7日 19時) (
レス) id: 7fba23456b (このIDを非表示/違反報告)
たつどし(プロフ) - この物語のストーリーについ惹き込まれてしまいました！登場人物の表情や細い動作がわかりやすく読みやすいです！！ 更新停止となっていて少し寂しいです…プレッシャーをかけるつもりはありませんが、また更新を再開して下さるのを期待しています。色々頑張って下さい (2017年5月8日 2時) (レス) id: 15219600b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - コロボックルさん» ありがとうございます！！励みになります頑張ります(((^-^))) (2016年10月18日 22時) (レス) id: e3490e59f8 (このIDを非表示/違反報告)
コロボックル - ポッキーさんと赤髪さんの小説が読めるなんて!更新頑張ってくださいね!! (2016年10月18日 7時) (レス) id: baeee8abc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2016年4月7日 0時
