11、負担 ページ11
＊
それから、私と赤髪さんが、昔のことについて話すことはなかった。
一番の理由は、そりゃあ赤髪さんが、泣いた時のことを忘れたっていうことだけど、
あれから何日経とうが、私もその話について触れることはなかった。
毎日毎日、
調子はどうかって聞いて、
赤髪さんが単調に答えるだけ。
それでも、まあ、よかった。
でも、私が知らないところで、
実験は着々と進んでいた。
・
「頭が痛い？」
「ああ…何かが頭で這いずり回ってる感じ…」
「大丈夫ですか？」
「すこし、寝させてください」
赤髪さんは、ある日倒れるように眠り込んだ。
私はすかさずポッキーさんに電話をかける。
「あ、もしもしポッキーさん？赤髪さん、急に具合が悪くなったけど……どういうことですか？」
「くすりが効いてる証拠でしょ」
電話の向こうのポッキーさんは、忙しそう。
「効いてる、って……逆です、苦しそう！」
「脳が活発に動いてる。薬はあいつの脳の中で眠っていた、記憶をする部分を働きかけてるんだよ」
「そんな……」
「上手く行けば、少しでもあいつの過去が知れるかもしれない」
「これをずっと続けるんですか？」
「それしか方法はない」
「ちょっと待って、これを続けるには赤髪さんへの負担が大きすぎます！もっと慎重に」
「実験体に感情移入するなっ！！」
ポッキーさんは、今まで聞いたことのない声で怒鳴った。
「……っ」
「………ごめん……でも、時間が無いんだよ。一回切るわ」
ツー、ツー、って、ポッキーさんの声はそこで途切れた。
頭を抱える。
やっちゃった。
……架さんも疲れてるのに。
電話も、忙しいなかわざわざ出てくれたのに。
心の中でごめんなさい、って謝る。
赤髪さんに目をやると、
冷たい床の上で、少し痙攣してる。
私にできることなんてないから、
とりあえず、赤髪さんの症状が収まるまで待つことにした。
こんなのが、これからも続いていくなんて。
「大丈夫なの……赤髪さん」
・
その日は、気づけば居眠りしていたようで、
朝は研究室のソファの上だった。
慌てて、赤髪さんの様子を見に行く。
・
冷たいその場所に、赤髪さんは居なかった。
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サンゴ(プロフ) - すごい！もうほんとすごい((語彙力))更新、頑張って下さい！！ (2017年12月7日 19時) (
レス) id: 7fba23456b (このIDを非表示/違反報告)
たつどし(プロフ) - この物語のストーリーについ惹き込まれてしまいました！登場人物の表情や細い動作がわかりやすく読みやすいです！！ 更新停止となっていて少し寂しいです…プレッシャーをかけるつもりはありませんが、また更新を再開して下さるのを期待しています。色々頑張って下さい (2017年5月8日 2時) (レス) id: 15219600b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - コロボックルさん» ありがとうございます！！励みになります頑張ります(((^-^))) (2016年10月18日 22時) (レス) id: e3490e59f8 (このIDを非表示/違反報告)
コロボックル - ポッキーさんと赤髪さんの小説が読めるなんて!更新頑張ってくださいね!! (2016年10月18日 7時) (レス) id: baeee8abc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2016年4月7日 0時
