踏ん張りが効く子 ページ6
目を丸くしていたみんな。
でも真剣なAに、
あろうことか白瀬さんは、「嬉しい」とオーケーを出した。
食堂を出て、夏休み前のような勉強会を開くために、大部屋に行く時も、
Aは白瀬さんの荷物を背負って、白瀬さんの横を歩いた。
「とみたんも残ってる課題全部出しいや、野崎さんたちがまた手伝ってくれる言うてるで」
ぷんちゃんは部屋の扉のすぐ前で、鞄をがさごそ。
「俺、これから一日24時間勉強しても、確実に終わらない量なんだけど大丈夫?」
「そんなことあるわけないやろ」
ぷんちゃんはさらっと言う。
これだからいつもしれっと安定した成績とる奴は。
「夏休み明けテストのためのプラスアルファ勉強は諦めて、補習受けることは確実やけど」
「泣きたい」
ぷんちゃんは残り少ない夏休み課題を抱えて扉を閉めた。
俺がダンボール詰めの課題を持っているのを見て、小さくため息をつく。
「こっちが泣きたいよ」
他のみんなも、自室から課題を持ち寄って大部屋へ行く。
久しぶりに見たにーちゃんたちは、白かった。
多分、俺達が焼けただけだけど。
「うげーっ、とみたん、あと夏休み何日あるか分かってんの?」
にーちゃんが半笑いで俺のダンボールの中を覗いた。
「一週間ほど?」
「事実は三日」
「死んだ…」
「頑張ろう」
この流れも二年前から。
とみたんは踏ん張りがきく子だから!って、棚に用意されているエナジードリンクは、見なかったことにしておきたい。
よく寝てよく食べてよく遊んでよく勉強する中等部組は、
あおいも含めて、何とか終わる見込みのある量だそう。
「じゃあ英語から。わかんねぇ!って思ったらすぐ飛ばすんだよ」
にーちゃんは俺の前に座って、さっと俺の前にプリントを並べた。
「にーちゃんごめんね、忙しいのに…」
「何をいまさら。とみたん昨年、どこらへんまで引っ張ったんだっけ?」
「……9月…下旬?」
10月の初めも、何か書いてた記憶はあるかも。
「……今回は9月上旬に完走目指そう」
「了解」
俺が黙ると、後はただ、鉛筆のカリカリ音だけが部屋に響いた。
じっとしてられない俺みたいな子は、ただただこういうのが苦手。
それでもやはり踏ん張りが効く子で、
あおいくんが寝落ちしても、げるたんが寝落ちしても、監督(?)の野崎さんが寝落ちしても、
二番くんがあおいくんを横に寝かせるついでに、しれっと自分が寝てからも、
俺は起きて、
「白瀬さんが起きてるから…」
と、一生懸命目をこする、かわいいAと、
カリカリ、並んで鉛筆を走らせていた。
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cosmos(プロフ) - 中等部組のところ、もしかしてBlessingの歌詞ですか?笑 いつも楽しく読んでます。更新お疲れ様です!! (2018年11月3日 21時) (レス) id: 8837544c77 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 続編待ってました〜〜!!!更新楽しみにしてます♪ (2018年10月28日 10時) (レス) id: cf9cb2a359 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2018年10月28日 5時