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のっくん優しい ページ13

朝から休まず動きっぱなしで、
座ってたらトイレに行きたくなった。
席を立って、ホールを出て、男子トイレに駆け込む。

その瞬間、
トイレの奥に、こないだお世話になった第一の先輩方が屯していて、
はっとして足を止め、静かに後ずさりした。

一瞬、どうしようと悩んだ。
知らん顔で用を足すか、他の人に迷惑だからトイレに集まるなと注意するか、
でも、
白瀬さんが怪我をした、あの日のことを思い出して、

おれはバレないように男子トイレから抜け出した。
少し遠回りして、別のトイレに駆け込む。

でもその時、
またびっくりして足を止めた。

またいる。
第一の違うメンバーが、トイレの奥で談笑してる。
何で!トイレに集まるの流行ってるの…?ちょっとそれ古くない?

またちょっと迷ったけど、
おれはUターンして、結局トイレを諦めた。
こんなにたくさんの人がいる中で、女子トイレに駆け込むわけにもいかない。


ホールに戻って、
のっくんの隣に座る。


まだ劇は始まらないみたい。

おれは隣ののっくんを見上げた。
「…ねえ、のっくん」
「ん?」
「第一の人ってさ、文化祭は毎年、居場所ないからトイレに集まる習性あるの?」

のっくんは一瞬固まって、
真剣な顔になっておれを見た。

「何かされたん?」

「されてないけど…」
「トイレちゃんとできた?」
「できてない…どこのトイレにもいるんだもん」

のっくんが突然立ち上がったから、
えっ!って思わず声が出た。

「どこ行くの!」
「様子見てくるだけ」
「やめて!何のために避けてきたと思ってるの」

のっくんがおれを見る。
「行かないで、のっくん……白瀬さんみたいにのっくんが怪我したら、おれ嫌だよ」

劇が始まる直前の、ブザーが鳴る。


「……じゃあ、寮のトイレ行こう」
のっくんはそう言って、ホールの扉を開けた。
「ちょっと遠いけど、仕方ないし」
「うん…」

ホールを出て学校を出て、寮まで行く。
トイレのためだけに行くの、ちょっとめんどくさかったけど、仕方ない。

第二の公共トイレに向かうと、

入ろうとしたおれを止めて、のっくんが前に出て、
慎重に扉を開けた。

トイレの奥まで行って、個室にも人がいないことを確認すると、おれを呼んだ。
おれはもちろん洋式トイレに入る。
のっくんはトイレの外で待っててくれた。

「ごめんね、のっくん、わざわざ…」
手を洗いながら声をかけた。
げるたんの劇も、ちょっと見逃しちゃった。


「ホント、こんなん付き合ってあげられんの俺くらいやもんな」
「うん、ホント!のっくん優しいよ」

駆け寄ると、のっくんは照れてそっぽを向いた。

ただのラブレターなら→←もしかして劇のこと



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cosmos(プロフ) - 中等部組のところ、もしかしてBlessingの歌詞ですか?笑 いつも楽しく読んでます。更新お疲れ様です!! (2018年11月3日 21時) (レス) id: 8837544c77 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 続編待ってました〜〜!!!更新楽しみにしてます♪ (2018年10月28日 10時) (レス) id: cf9cb2a359 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2018年10月28日 5時

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