見せてあげたくて◇13.10.19 ページ46
「大人だったら、ダメって言えるでしょ。だってそれが本当は、正しいから……それが大人の守る決まりだから」
母さんは、私の目から目を逸らさない。
少し怖いけど、仕方ない。
「本当は…どうすればいいか分からなかったけど、むすめんのことが好きになってくれた人だってことは、すぐにわかった。むすめんを好きでいてくれてる人は、今のむすめんを支えてくれる人」
「…」
「支えられて、成り立ってるステージだって、お母さん言ってたでしょ…?だから…今日のむすめんを見て欲しかったの、絶対……」
ステージの上で名前を呼ばれて、
笑うぷんちゃんは、キラキラしてる。
それを見上げる、ぷんちゃんのことが大好きな人たちの笑顔も、
おんなじくらい、キラキラしてる。
それが見たくて、
それをメンバーのみんなにも見せてあげたくて。
結成してから今まで、
色んな節目で、色んなかたちで、
むすめん。を離れていく人たちを、メンバーのみんなは目の当たりにしてきた。
そうやってみんなが傷付くところを、
私は何度も目の当たりにした。
でも、むすめん。が泣きたくなるほど見たいって
思ってくれる人も、たっくさんいる。
それを、メンバーのみんなにも、
分かっていてほしい。
「…ごめんなさい、お母さん、最初の演目が始まった直後に、Aちゃん僕に打ち明けてくれたんです。さっきお客さんのスマホに残ってる、発券案内のメールとか確認させてもらったので、今回ばかりは……」
きさりんが私の肩に手を置いて、小さく頭を下げてくれる。
母さんは小さくため息をついた。
怒ってるわけじゃないみたいだった。
でも呆れてるのか、悲しんでるのかも、分からない。
「…あんたを責めるつもりはないけど、A…」
「…」
「でも…気を付けなきゃダメだよ。信じ難いけど、世の中には、悪い人もいっぱいいるの」
「…うん」
「あんたはまだ子どもだから、その部分に漬け込んで、悪さを考える人だっている。わかるでしょ」
頷いた。
むすめんの活動を一緒にしていると、目の前の知らない人の気持ちがわからなくて、疑心暗鬼、に、なることもある。
「…難しいよね」
お母さんは、ぼそっと呟いた。
「どうすればいいかわかんなくなる時が、私にもたくさんあるよ……だからAのことは叱れないけど、私たちも、変わらなきゃ」
「…私、本気になれるよ。むすめんのためなら、いくらでも」
「そうだね……」
お母さんは、眉を吊り下げながらだけど、微笑んだ。
でもちょっとだけ、
また一つ、悩みを心の中に閉じ込めたような表情みたいに、感じた。
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ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!!申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…! (2018年10月7日 19時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 楽しみにしてます!これからも更新頑張ってください〜!あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです! (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2018年10月6日 5時