どうしようもない◇13.10.19 ページ44
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中学生最後の夏休みが終わって、
少しずつ涼しくなってきた時期に、全国ツアーの練習が始まった。
むすめん。全国ツアー2013秋冬
〜なりきりッ☆男子ING〜
捻り出したツアーのタイトルをみんなに褒められた。
もちろん、笑われながら、ですけど。
集まれる日にはとにかく少人数でもいいから集まって、
肌寒い日でも、汗が滝のように流れるぐらい練習した。
位置を間違える度に確認して、
曲を流して、体を伸ばして、
先生達からたくさん怒られて、アドバイス貰って、
メンバー同士で励ましあって、笑って、
もう一度曲を流して、マイクを握りしめ、
顔を上げて、声を出した。
その中で、お母さんと白服さんと、
ぷんちゃんにサブリーダー就任をお願いしよう、って話になった。
ぷんちゃんは一番の努力家だった。
立ち位置も振りも、深夜まで練習して一番に覚えて、練習でみんなに教えてあげられるくらい。
常に真剣で、白服さんの良い理解者でもあった。
10月に入ってからの練習で、みんなにそれを伝えると、
満場一致でそうしよう、ってなった。
ぷんちゃんもみんなの意見を受け止めて、頑張ると言った。
ツアー初日。
10月14日大阪公演の日は、すぐにやってきた。
朝から始まるリハーサル。
元々たどたどしかった冒頭挨拶の部分から、お互い厳しく指摘し合うようになった。
メンバーのみんなは大人だから、それでへそを曲げたりなんてしない。
でも碧海は何度も怒られた。
集中力が足りないよ、って白服さんにも言われた。
私ももっと、頑張らなきゃいけなかった。
やれることならいくらでもやった。
リハが終われば、1部開場の準備で走り回った。
今日はぷんちゃんサブリーダー就任の発表がある、大事な公演の日だ。
天気は晴れ。
気温も10月にしては高め。
整番順に並んで、開場。
きさりんにチケットを渡して中に入っていく、お客さんの列を整備していると、
建物の影に数人の女の人が集まって、
列から外れているのが見えて、
嫌な予感がして駆け寄った。
「どうかされましたか…?」
いつもお母さんがやってるみたいに。
一人の女の人が泣いていた。
見た感じ、20歳前後の女の子。
自分のバッグを広げて、中身を漁っていた。
「あの…チケット忘れてきちゃったかもしれないんです」
両脇にいた二人の女の人が、口々にそう言った。
その二人は手にチケットを持っている。
「東京から新幹線で来てて、取りに戻れなくて…どうしようもないですよね…」
泣いている女の人は、水色のスカートに、水色のアクセサリ。
心がずきん、って傷んだ。
どうかした◆13.10.19→←もう帰っちゃうの◆13.08.20
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ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!!申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…! (2018年10月7日 19時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 楽しみにしてます!これからも更新頑張ってください〜!あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです! (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2018年10月6日 5時