検索窓
今日:1 hit、昨日:26 hit、合計:26,814 hit

どうしようもない◇13.10.19 ページ44




中学生最後の夏休みが終わって、
少しずつ涼しくなってきた時期に、全国ツアーの練習が始まった。

むすめん。全国ツアー2013秋冬
〜なりきりッ☆男子ING〜

捻り出したツアーのタイトルをみんなに褒められた。
もちろん、笑われながら、ですけど。


集まれる日にはとにかく少人数でもいいから集まって、
肌寒い日でも、汗が滝のように流れるぐらい練習した。
位置を間違える度に確認して、
曲を流して、体を伸ばして、
先生達からたくさん怒られて、アドバイス貰って、
メンバー同士で励ましあって、笑って、
もう一度曲を流して、マイクを握りしめ、
顔を上げて、声を出した。


その中で、お母さんと白服さんと、
ぷんちゃんにサブリーダー就任をお願いしよう、って話になった。


ぷんちゃんは一番の努力家だった。
立ち位置も振りも、深夜まで練習して一番に覚えて、練習でみんなに教えてあげられるくらい。
常に真剣で、白服さんの良い理解者でもあった。

10月に入ってからの練習で、みんなにそれを伝えると、
満場一致でそうしよう、ってなった。
ぷんちゃんもみんなの意見を受け止めて、頑張ると言った。




ツアー初日。
10月14日大阪公演の日は、すぐにやってきた。


朝から始まるリハーサル。
元々たどたどしかった冒頭挨拶の部分から、お互い厳しく指摘し合うようになった。
メンバーのみんなは大人だから、それでへそを曲げたりなんてしない。

でも碧海は何度も怒られた。
集中力が足りないよ、って白服さんにも言われた。

私ももっと、頑張らなきゃいけなかった。
やれることならいくらでもやった。
リハが終われば、1部開場の準備で走り回った。
今日はぷんちゃんサブリーダー就任の発表がある、大事な公演の日だ。

天気は晴れ。
気温も10月にしては高め。


整番順に並んで、開場。
きさりんにチケットを渡して中に入っていく、お客さんの列を整備していると、

建物の影に数人の女の人が集まって、
列から外れているのが見えて、
嫌な予感がして駆け寄った。

「どうかされましたか…?」

いつもお母さんがやってるみたいに。


一人の女の人が泣いていた。
見た感じ、20歳前後の女の子。
自分のバッグを広げて、中身を漁っていた。

「あの…チケット忘れてきちゃったかもしれないんです」
両脇にいた二人の女の人が、口々にそう言った。
その二人は手にチケットを持っている。

「東京から新幹線で来てて、取りに戻れなくて…どうしようもないですよね…」

泣いている女の人は、水色のスカートに、水色のアクセサリ。
心がずきん、って傷んだ。

どうかした◆13.10.19→←もう帰っちゃうの◆13.08.20



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
81人がお気に入り
設定タグ:MeseMoa. , むすめん。 , 踊り手
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!!申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…! (2018年10月7日 19時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しみにしてます!これからも更新頑張ってください〜!あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです! (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひな | 作成日時:2018年10月6日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。