会いに行こうね◆13.06.04 ページ29
＊
「A、起きて」
さっさーが、人1の肩を揺さぶる。
「オーサカ、着いたってさ。グッスリだった？」
Aは顔を上げた。
目をぱちぱちさせて、立ち上がる。
「ううん、寝てない」
「寝てたじゃん…」
俺達が首から提げるのは、修学旅行のしおり。
六月上旬って、うちの学校ではちょっと、例年より遅めらしい。
何でか俺たち双子は同じ班。
もちろんさっさーも。
というのも、人1が転びそうになった時、すぐに気付いて支えてあげられるのは、さっさーだけで、
さっさーがいる所には俺もいる、みたいな。
みんなはもう、さっさと新幹線から降りてしまった。
三人でみんなの背中を追う。
「大阪……ぷんちゃんたちに会えるのかなぁ」
人1が隣で呟いた。
「会おうと思えば、会えるよ。ぷんちゃんは奈良だけど、のっくんたちは大阪だし…」
「まさか、冗談だよ」
「え？俺LINE送っちゃったよ」
駅のホームの、広い場所で、
生徒達が並んで、人数確認をする。
「えっ、何て？」
「修学旅行の日程の紙の写メ送ってさ、いつ会える？みたいな」
「やめなよ、のっくんたちも忙しいんだから」
「普通にいいよって返ってきたよ。明日、水曜じゃん？ぷんちゃんも来れるって」
「……何か申し訳ないよ」
「…俺は、Aにぷんちゃんたちに会ってほしいの。A、最近ずっと、思いつめたカオしてるから…」
一列に並んで、
後ろに並んだ人1に、
スマホをズボンのポケットから少しだけ出して、見せる。
「持ってきたの？」
「Aも会いたいんでしょ？なんかさ、あの人達のパーっとした感じ、一周まわって癒されるよね」
「……それはそうだけど」
「Aから、会いたい ってただそれだけ言えばさ、ホイホイ来ちゃうって、あの人達」
人1の目の下のクマ。
最近あんまり、眠れないんだってさ。
そんな中で修学旅行だなんて、心配だから、ちゃんと見てやって、って母さんから言われてる。
「ちょっとだけの時間でもいいからさ………明日、ぷんちゃんたちに、会いたい？」
「……うん…」
人1は俯いてから、頷いた。
「会いたい…」
「ね、久しぶりに会いに行こうね」
人数確認が終わったら、
最初の観光地、大阪城に向かうために、
電車の乗り継ぎ。
班の班長のさっさーは、
いつも通りくだらない話をして、みんなを笑わせてくれた。
ちょっとだけ見慣れた街を、電車は走る。
いつもはクールで甘えたがらない、
人1が、ぷんちゃんたちに会いたいって。
そう送った時の、みんなの綻ぶ表情が、目に浮かぶ。
認めてもらえること◇13.06.05→←いいのを知ってる◇13.05.30
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ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！！申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…！ (2018年10月7日 19時) (
レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 楽しみにしてます！これからも更新頑張ってください〜！あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです！ (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2018年10月6日 5時
