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不思議だね◇11.10.15 ページ6




10月15日土曜日。
港区、ニコファーレ。

ZIGG-ZAGG の踊ってみたが投稿されて、
出演依頼のメールが来てから、
あっという間だった。少し肌寒くなったぐらい。

父さんの車で会場まで来て、
スタッフさんの案内で楽屋まで歩く。


お父さんはイベントとは別の用事があって、
お母さんは打ち合わせに行かなきゃならないから、
楽屋でジッとしてるように言われた。

「…まだ実感湧かないな…」
二人きりの個室で、碧海がパイプ椅子に座る。
「まさか本当に出れるだなんてね」
普段あんまり緊張しないあおいでも、今日はいつもと違う環境にそわそわしてるみたいだ。

「…先生、来ないね?」
もちろん先生と僕 で出演するから、ケースケ先生と控え室も同じなんだけど。
碧海が楽屋の扉を少しだけ開けて、廊下をキョロキョロ見渡した。

「A、俺トイレ行きたいんだけど…」
「案内しようか、さっきお母さんに場所教えてもらったから」
「お願い!」

楽屋を出て、
大人が行き来する廊下の隅を歩く。

「普段なら、ステージ見上げてワクワクしてる側なんだけどな…不思議だね」
私の後ろで、碧海が言う。
「始まりの一歩に過ぎないよ」
「何の始まり…?」
「…二作目も頑張ってね」

えっ、て碧海が私の隣に並んだ。
「二作目!?」
「今日踊るやつを撮るだけだよ。先生にももうお願いしちゃったし…」
「いつの間に…」
「波には乗じたほうがいいよ。嫌?…」

碧海の顔を見ると、
碧海は少し笑って、首を横に振った。

「ありがと、A!今日頑張るわ!」
「うん」

あ、トイレあった!
って、WCの案内を見つけて、碧海は元気に駆け出した。

「もー、走らないでよ…」

それを追いかけようと、
私もゆっくり駆け出したら、


「わっ」


曲がり角から出てきた人と、
盛大にぶつかった。


地面に尻餅をついて、
顔をあげると、
男の人が、びっくりして私を見下ろしていた。

「ごめん!大丈夫!?怪我ない?」
「え、あ…いや、こちらこそ!ごめんなさい…」

立ち上がろうとしたら、男の人に手を差し伸べられた。
その手を握って、立ち上がる。


「…え、あおいくん?」

独特のイントネーションで、
その人は私の顔をまじまじと見て、そんなことを言った。

「……?」
私が首を傾げると、

その人ははっとして、あははと笑った。
「ごめん、人違いやわ!廊下、人通り多いから気をつけてね。親御さんとはぐれたんちゃうよね?」
「…はい…」
「良かった。じゃあ、またね」


またね。


男の人は私の頭に手を置くと、
私の横をすり抜けて、行ってしまった。

想像しただけで◆11.12.11→←いるだけでいい◇11.09.07



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- オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年8月12日 13時) (レス) id: e44f2de31d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2018年8月12日 13時

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