ひかる (ページ31)

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ホントだよ◆12.09.22 ページ31

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「はあっ、はあっ」

最近ずっと、走ってばっかな気がする。
歌のレッスンに向かう時も、
イベントの廊下でも、
夜遅くまで練習した次の日、
寝坊して遅刻しそうな通学路でも。

でも、そのどんなときも、
だいたい心が踊る、嬉しい時だ。

誰よりも早く、

楽屋に飛び込むと、
のっくん、ぷんちゃん、白服さんが、俺を出迎えた。

「あおいくん！」
のっくんは俺を見て笑顔になった。
首から、「VIP」と書かれたカードを提げている。

「やったよ！のっくん！」
「ほんますごい！まさか世界二位だなんて」
「やばいよ！」
ぷんちゃんと白服さんも、興奮してる。
俺を追いかけてきたえーすけが、
大きなカードを持って、楽屋に入ってくる。

「白さん、ぷんちゃん、のっくん！獲った！」
「おつかれさま！めっちゃ凄かった！」
「俺もぜんっぜん、信じられない！ホントだよね！？」
えーすけはそのカードを抱え、何度も文字を読む。
韓国語、読めないのに。

「白さん！母さんは？」
「今戻ってきてる途中だと思うよ。スマホ？」
「うん！待てない！お願いっ、白服さん貸して！」

もちろん、ってニコニコしながら、
白服さんが貸してくれたスマホで、
家の番号に電話をかける。

今日の妹は、父さんとお留守番。

もう時間は遅い。
でもコール三回くらいで、出てくれた。
『はい』

「A！俺です！あおいです！」
『分かってるよ、どうしたの？』

「あのさ、KーPOP……大会！今、終わったんだけどね！結論から言うと二位だった！正直めちゃめちゃ悔しいけど、でも、嬉しい！世界二位だよ！二位っ！」

怒涛の勢いで喋る。
ぷんちゃんたちがニヤニヤしながら、汗だくの俺を見てる。
楽屋にケースケ先生やげるたんが入ってきたのが、見える。

人１は褒めてくれるだろうか。

『あおい』
「はいっ」
『すごい！』
「っやったあ！」

顔を上げて、思わずガッツポーズ。
周りのみんなの頬が緩む。

「ねえ、もうちょっと起きてて？白服さんたちもいるし、みんなででっかい板と写真撮るからさ…父さんのラインに送るから！お土産も買って、急いで帰る！」
『焦んなくて大丈夫だよ。おめでとう、あおい』
「うん、ありがとう」
『みんなにちゃんと、お礼言うんだよ』
「わかった！」
『じいじたち起こしちゃうから、もう切るね。おやすみ』
「おやすみ！」

ツー、ツー。
電話が切れると、
実感が湧いてくる。

いつも通りドライだったけど、
声のトーンでわかるよ。
喜んでくれてる。

良かったねぇ、って、
ぷんちゃんが、俺の頭を撫でた。