ひかる (ページ20)

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就いたりして◆12.06.30 ページ20

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白服さんのリリリリの、撮影と編集を手伝ってからというもの、
人１は俺の撮影はもちろん、
俺の参加しない、先生や白服さんの動画の撮影にも加わるようになった。

ドレミファロンドも無事完成して、
ダンマス4までに出しておきたい動画は、
ネコネコ…にゃいにぃ、あとADS！
春に一番近い街、も撮らなきゃ。もうそろそろ夏なんだけど。
それと、りりりちゃんともいろいろやるんだったな。

目まぐるしく過ぎていく日々。
人１も同じ状態。
でも、それが楽しい。

「えっA、また白服さんとこぉ？」

夕ご飯の前にさっさと宿題を済ませて、
食べ終わるなり二階に上がり、映像編集にいそしんでる人１。
いまはKーPOPコピーの、にゃいにぃのやつを頑張ってくれてるとこ。感謝。

「またっていうか、リリリリ以来じゃない？」
母さんは食器を洗っている。
ちょっとぐらい手伝ってよ、って俺に布巾を手渡した。
「また、じゃん！本業、忘れてない？」

お茶碗を手に取って、落とさないように慎重に、水を拭き取る。
拭いたら重ねて、次のお茶碗。父さんの。

「本業」
「俺専属アシスタント」
「A、忙しいね…」
「…大変だったら、俺もちょっと手伝うけど…」
「いや、それ自体は楽しくてやってるみたいだよ。あおいがダンス楽しいのと一緒。そのうち、そういう仕事に就いたりしてね」

それに。
あんた、あんな繊細な作業できないでしょ。
って母さん！一言余計なんだ！

「…白服さん、嫌なの？」
軽くdisられて頬を膨らませていると、
母さんは何か勘違いしたのか、俺を見てそう言った。
「全然！んなわけないじゃん！」
「じゃあ、Aに付いていってあげてね」

…もちんですとも。

「でもその前に、また俺に歌のレッスンつける役目があるからね」
最後のお茶碗を拭き終えて、まとめて棚に入れる。
「…あおい、その話なんだけど…」
「ん？」

母さんは手を止めて、
少しだけ眉を吊り下げて、俺の顔を覗き込んだ。

「…A、ちゃんと歌えてる？声、出るよね…？」
「…」
「リリリリのハモり撮る時とか、あおいにレッスンする時とか…躊躇、してない？辛そうじゃない？」

きゅっ、て、
水道のレバーを閉める音。

「…うん、大丈夫」
俺は首を横に振ってから、そう言った。

そして、お皿を拭く作業を再開させる。
「…そっか…うん、良かった」
わかりやすく肩をストンと落として、安心する母さんの顔。
やっぱり、同じことを言う時の、人１と少し似ている。
俺は思わず目を背けた。