ひかる (ページ1)

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プロローグページ1

その場所は、歓声に包まれていた。

カラフルな景色だった。
赤、ピンク、黄色。その他にもいっぱい、
9、10色あるかもしれない。

真っ暗の中に、その無数の光がただただ、キラキラしていて、
気がつけば、耳には歌声が届いていた。

その場中に響く声。
見ると、自分のよく知っている、双子の弟、
に顔のよく似た青年が、
マイクを握って、そのカラフルな景色を前にして、
笑って歌って、ダンスをしていた。

男の子だから、同じ顔でも自分とは違う弟が、
成長した姿だと分かった。

目元は私にそっくりで、
背丈は今より高く、輪郭のラインがはっきりしていたから。

彼は額に汗を流しながら踊る。歌う。
彼が笑うたびに、歓声が響く。

弟は一人じゃなかった。
そのカラフルな光の種類と同じ数ぐらいの、他の男の人たちと一緒だった。

カラフルな色の数が正確に分かったわけは、
私は、その観客たち側に立っていたわけではなかったから。

ましてや、弟達と一緒のステージにいたわけでもなく、
私は、その人たちを…ステージの袖、真横から見ていた。

そこに立ち尽くしたまま、目が逸らせなかった。

曲が切り替わって、
弟がそれに合わせて、私の方にはけてきた。
「A」
彼は確かに、私の名前を呼んだ。

気付けば私は手に、タオルやら水の入ったカップやらを持っていて、
自然と、それを彼に手渡していた。

彼は笑ってそれを受け取り、
コップの水を飲み干すと、
私の肩に優しく手を置いて、もう一度はにかんだ。

弟の面影が、そのまま残っている。
気付けばその弟と、私はほとんど背丈が同じだった。
私も、成長した姿になっているのかもしれない。

弟が私を離れてから、私はもう一度歓声のする方向を見た。
やっぱり、輝いていた。
それは夢のような世界だった。

私は本来いつも歓声を送る側のはずだから、
これが本当に夢であることは分かっていた。
そして、その夢での私は、明らかに歓声を浴びている側だった。

素敵な夢だ。
この景色を夢見ているわけではないけど、
希望がいっぱい詰まったような、夢。

同じような夢を、最近は何度も見る。
明らかに予知夢ではないけど、

こんなことが、本当に起こったら、素敵だな。

そんなことを思った、

その頃に、大体いつも、目が覚める。