46いいのか ページ46
「Aちゃーんっ」
両肩を叩かれて、ハッとした。
「…とみたん」
「元気してる？まぁ見るからに疲れてるけど」
この前見た時と同じように、またキャンディを口の中でコロコロしてる。
私たちは寮の廊下に立っていた。
「…とみたん、今日は誰かと駆け落ちですか？まだ昼ですけど」
「生憎俺野郎と駆け落ちする気は無いんだよねー」
「え？」
周りを見渡した。
…見慣れない景色。
「ここ二年生寮だよ？しかも男子寮」
「…すみませんでした…」
私は方向を変えて歩きだそうとする。
「あーまちなって！なんでそんなにうわの空なの？あおいくんの件？」
思わずとみたんのほうを見る。
「知ってるんですか…？」
「そういう情報には敏感だからね」
だとしたら、話は早かった。
「私、やっぱりどうにかして…あおいを助けたいと思うんです。代表生には反対されたけど…」
「そりゃ反対するでしょ！二人にはAちゃんを守る義務があるわけだし」
「…」
「大方、自分が証人として裁判に出れば判決は揺らぐかも、って算段でしょ？」
とみたんはやはり察しがいいのか。
私はため息をついた。
「…そんなに上手くいきませんよね」
「俺もそれしか無いとは思うけどね」
とみたんは壁に寄っかかった。
「明らかにウランは、あおいを潰そうとしてる…」
そこに、真実も正義も無い。
このまま裁判を迎え終わったら、アッチの思うつぼ。
「…私を守るため私を裁判に出さない、それであおいが負けてしまうなら…私だって悔しいんです。あおいは何度も私を守ってくれました！あの日だって…だから今度は、私があおいを救わなきゃ」
収容所で、今あおいはどうしているんだろう。
苦しいに違いない。
証人として裁判に立てたら、どうしようと考えていた。
誰が見ても明らかに無罪だと分かるようなこと、
裁判長がそう言わざるを得ないような、証拠を突きつければいい。
耳たぶの持ち主はあおいには殺せない。
それか、殺したはずがない。
その証拠は、きっとどこかにある。
「…だから……あの…」
「…」
「白服さんが何と言おうと、私は裁判に出ます」
「いいよ！」
ケロッとして、とみたんは言い放った。
「えっ！」
「一人じゃ危ないから俺も付いてくけどね。俺がAちゃんを追ってここまで来たの、見張るようにって白服さんの命令だし」
「えっ？」
「見張ってろとしか言われてないから！勝手なことしようとしてたら止めろとか、言われてないから！」
とみたんはにこっと笑って、
私に手を差し出した。
「ちょっと考えがあるんだよね。
駆け落ちでもしようか。おいでAちゃん」
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ひな(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます！コメント励みになります(；；)がんばります！！ (2018年3月3日 18時) (
レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ひなさんの小説の世界観が大好きでいつも楽しませてもらってます！！更新大変だとは思いますが、がんばってください！ (2018年3月3日 14時) (レス) id: a81d6c10a8 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 有栖夢子さん» ありがとうございます！頑張りますね(；；) (2018年2月28日 16時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
有栖夢子(プロフ) - いつも楽しんで読ませてもらってます！楽しみにしているので、これからも頑張ってください！ (2018年2月27日 22時) (レス) id: 75b30202ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2018年2月15日 21時
