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40どうする ページ40

「ねえ、げるたんはさ」
私の正面に座ったげるたんが顔を上げる。
特別授業は、気付けば美味しいカフェの伝授会に変わっていた。
げるたんは、顔をしわくちゃにしてにこって笑う。

「…日常で、魔法使いとして気を付けていることはある?」
「…俺個人として?それともウランとして?」
「……どっちも…」
げるたんは、辺りを見渡した。
そして立ち上がって、私の手を引いた。

「どこへ行くの?」
「俺の気を付けていることを教えてあげる。付いてきてね」
教室を出て、音楽室の前、下り階段の前を通って、
体育館倉庫へ続く、階段を下りていく。
「ねえ、実験室こっちじゃないよ?」
「実験室じゃないよ。もうちょっとで着くから」

私の右手首を掴んで。
下に下に、地下に階を下がるごとに、辺りは暗くなっていく。
不穏な感じ。
でも私は、げるたんの歩く方向にただ歩いていった。
早歩きだったげるたんの歩行速度は、だんだん遅くなって。

そこは大きな倉庫だった。
チカチカ、今にも消えそうなランプが一つ置いてあるだけで、
折れた箒とか分厚い古い本とか積み上げられている、殆ど人の近寄らないような場所。

「…すごい、学校にこんな場所あったんだー…」
少しホコリっぽいけど、思わず感嘆の声を上げる。
入学早々学校内に独自の秘密ルートをいくつか、あおいと開発した身としては、この部屋は秘密基地みたいで興味深い。
「もちろん普段は立ち入り禁止の場所!まあ入ってみても特に何も無いんだけどさ」
「うん、そうだね。でもここの本…すっごい難しそうだけど、読んでみたいな」
「ねえ、ここが最期を迎える場所だとしたら、どうする?」


「え?」


次の瞬間。

ぱっとランプの明かりが消えて真っ暗になり、
ダン!って足音が真後ろでしたと思ったら、

脇腹に強い衝撃を受けて、壁に打ち付けられた。
「いっ」
「インカーセラス!」
縛れ の呪文だ。
頭が真っ白になって、次に目を開けた瞬間には、

体がぴったり、壁に張り付けられて、
身動きができない状態にいた。
光を感じて、気づけば、
私の首元に、鋭いナイフ。

「……どういう、つもり…」
その鋭いナイフを握って、私の目を見ているげるたんを見た。
右手に、明かりのついた杖を握っている。
私の胴体はロープでぐるぐる巻きにされていた。
両腕は左右に開かれてる。

「…ねえAちゃん、ここまで来る時、何か一瞬でも、不審に思わなかった?」
げるたんは消え入るような声で言った。
「…」
「なんでこんなに歩くんだろう。もしかして、何かされるかも?って、思えなかった?」

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ひな(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!コメント励みになります(;;)がんばります!! (2018年3月3日 18時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ひなさんの小説の世界観が大好きでいつも楽しませてもらってます!!更新大変だとは思いますが、がんばってください! (2018年3月3日 14時) (レス) id: a81d6c10a8 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 有栖夢子さん» ありがとうございます!頑張りますね(;;) (2018年2月28日 16時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
有栖夢子(プロフ) - いつも楽しんで読ませてもらってます!楽しみにしているので、これからも頑張ってください! (2018年2月27日 22時) (レス) id: 75b30202ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2018年2月15日 21時

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