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38やばいの ページ38

「ああ、怪我ない?」
「大丈夫です!」
私は慌てて立ち上がって、体に付いた砂を叩いた。

「ある!顔にやけど。どうして無いなんて言うの」
私の頬の辺りを見て、白服さんは痛ましそうに、眉をしかめた。
「…そんなに深い傷ですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど…やけどは傷が残りやすいから」

治癒魔法は、傷が完治するまで、その部位だけ時間を早送りするような魔法らしく、
怪我をする前に戻せるわけじゃないので、怪我によっては痕が残ったり、治せなかったりする。

「目立たなければ大丈夫です」
「ダメ。女の子の顔なんだから…ちょっと待っててね」
白服さんは、ローブの懐に手を突っ込んだ。
そのポケットには何でも入るのだろうか。

そして白い布の切れ端のようなものを、いくつか取り出した。
「…包帯?」
「怪我が綺麗に治りやすい、特別な科学魔法が使われたシート。科学実験室からくすねてきた」

白服さんはそれを、私の頬に当てると、上からテープで固定した。
「…ごめんなさい、白服さん。……意外とそういうの、持ち歩くんですか」
「いや、Aちゃんが、さっきみたいなこといつやらかすか分かんないし…」
お見通しか!

「あー、やっぱ不器用だから汚くなっちゃった…後でとみたんにやり直してもらって」
「ううん、いいんです。ありがとうございます」
「いや、ホントに…それで人前歩かないでね」
え、そんなにやばいの?
でもそういうのは、あまり気にしなくても大丈夫。
紙テープの白が少し視界に入ってるけど。

白服さんは手首の時計を見た。
「…これから、委員の用事ですか?」
「うん、ちょっと」
「…あの、あおい、元気にしてますか?」

白服さんは、毎日あおいに会ってるはずだ。

「あおいくん?」
「クリスマスからずっと見てないんです。忙しいんだろうけど…」
「確かに、あおいくんは忙しいから…でも忙しさでくたばるような子じゃないよ」
「あは、ですよね」
「Aちゃんに会いたがってる」

そんなこと言われると、やっぱり嬉しい。
そんな経験、なかなかない事だからね。

「あおいはヒーローなんです。弱いものいじめには厳しいから」
なんてね。
「呼び出し魔法が無くても、助けて欲しい時には、必ずいるんです。不思議」

そう言ったあと、
白服さんが、何かごにょごにょって、呟いた。

「…え?」
「ん?あ、いや、何も…」
白服さんは小さく首を横に振ると、

「じゃあ、あおいくんに伝えとくね!」
そう言って、手を振って背を向け、駆け出していった。

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ひな(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!コメント励みになります(;;)がんばります!! (2018年3月3日 18時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ひなさんの小説の世界観が大好きでいつも楽しませてもらってます!!更新大変だとは思いますが、がんばってください! (2018年3月3日 14時) (レス) id: a81d6c10a8 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 有栖夢子さん» ありがとうございます!頑張りますね(;;) (2018年2月28日 16時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
有栖夢子(プロフ) - いつも楽しんで読ませてもらってます!楽しみにしているので、これからも頑張ってください! (2018年2月27日 22時) (レス) id: 75b30202ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2018年2月15日 21時

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