26ここには ページ26
No More。
血で書かれたその文字が、
視界いっぱいに映し出される、夢を見て。
私は最悪の気分で目が覚めた。
メッセージの意味は分かっていた。
ウラン一族と対峙するシグ一族。
あのピアスの持ち主は、ウランのアーカラ信者に殺されたか、軟禁されたか、ああやって、拷問を受けているか。
��これ以上、ウランに歯向かおうとするのは止めておけ��。
あのピアスは見せしめだ。
私たち、もしくは私に対する。
捕まって耳を切り落とされる夢を見たことを、思い出した。
また少し気分が悪くなって、うずくまった。
反対側のベットを見る。
あれから、あおいは来ていない。
多分、忙しいからだと思うんだけど。
一人でずっと、ここでうずくまっているわけにはいかない。
私はローブを抱えて部屋を出た。
廊下は意外にも静かだった。
自室待機命令が出ているのかもしれない。
絨毯には、私の部屋の前から広場まで、固まったロウが落ちている。
代表生に会えるかは分からないけど、校長先生に、私もポルターガイストに遭ったことを言っておきたい。
霊体は、私の部屋に来たんだから。
昨日の広間は案の定、立ち入り禁止になっていた。
カーテンのような布に遮られた向こう側から、大人の話し声や、写真を撮る音が聞こえた。
その中に入るか入らないか迷っていると、
丁度、野崎先生が中から出てきた。
「A」
野崎先生は案の定驚いて、
「待機命令が出てるでしょ。部屋に戻りなさい」
「先生、あおいは居ますか？校長先生は？」
「二人とも会議だと思うよ。ここにはいない」
野崎先生は、私の抱えるローブが、あおいのものであることに気付いた。
「渡しておくよ。貸して」
「嫌です」
「えっ…どうして」
「私が直接返しに行きます。あおいはどこにいますか？」
「…だから」
「私も昨晩、ここで体験したんです。霊体のポルターガイスト」
先生は目を丸くした。
「ただ、屈んでるだけだったけど…霊体は私の部屋に来たんです。私にも、会議に加わる権利があります」
「じゃあ…」
「シグの誰かが犠牲になったことも知ってる。でも、私はウランに立ち向かわないといけないんです」
私がそうはっきり言うと、
先生は慌ててシッ！と口元に指を当てた。
「大きい声で言わないで！これ機密情報なんだからっ」
「……先生、会議はどこでやってるんですか」
私を見下ろして、
ため息混じりに、ちょっと見ないあいだに、随分堂々とした子になったもんだ、って先生は言った。
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ひな(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます！コメント励みになります(；；)がんばります！！ (2018年3月3日 18時) (
レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ひなさんの小説の世界観が大好きでいつも楽しませてもらってます！！更新大変だとは思いますが、がんばってください！ (2018年3月3日 14時) (レス) id: a81d6c10a8 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 有栖夢子さん» ありがとうございます！頑張りますね(；；) (2018年2月28日 16時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
有栖夢子(プロフ) - いつも楽しんで読ませてもらってます！楽しみにしているので、これからも頑張ってください！ (2018年2月27日 22時) (レス) id: 75b30202ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2018年2月15日 21時
