検索窓
今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:47,371 hit

3なんとか ページ3




「力が入りすぎなのかもしれない。集中しすぎ、なんて言葉を使ったらおかしいけど…気持ちは大きければいいってわけじゃないんだよね。もう少し肩の力を抜いて」

コーヒーの匂いでいっぱいの、教員室。
ノザキ先生は、今朝の小テストの採点をしている最中だった。

「そんなこと言われても難しいです……杖は大きい気持ちを一点に集中させる道具じゃないですか」
私は両手で、一つしか持っていない、自分の杖を握りしめる。
もう暗くなり始めた空。
生徒はみんな帰ってしまって、発火魔法ができないからって教員室に取り残されているのは、私ぐらいだ。

「んー…身体の中の魔力の流れは、外からじゃ見えないもんなぁ。にーちゃん、どう思う?」
先生は、椅子をくるりと回して、後ろの席に座るにーちゃん先生に尋ねた。
「才能が無いわけじゃないと思うんですけどねー。努力もそれなりしているみたいだし…何か鍵があると思うなぁ」

その鍵、どうやって探せばいいんだろう。
こんなに初級魔法ができない生徒なんて稀だから、先生達が困惑するのも無理はない。

「あ、花咲呪文はできるんじゃなかった?やってみせてよ」
にーちゃん先生からそう言われ、
私は左手を前に広げ、そこに右手で持った杖を向けた。

「オーキデウス」

ポンポンと、私の左手から溢れるコスモス。
「上手いじゃん。ツボミだけじゃなくて、手からも出せるっていうのが凄いよ」
「…私が生涯でマスターする呪文、これだけなんですかね…」
知識が増えていくばっかりで、全く経験に繋がらない。

「そんなこと無いよ。まだ一年生、焦るのは早いって」
ノザキ先生は、机の上の紙の束をパラパラとめくって、一枚だけ取り出した。

「はい、これ、先に返しとく。満点おめでとう」

差し出されたのは、小テストの私の答案用紙。
赤ペンで、ノザキ先生の綺麗な、100の数字。
「…ホワイトローブだけでも、なんとか貰えるように頑張りますね」
これ以上、ノザキ先生の教え子として、先生に恥をかかせるわけにはいかない。

にーちゃん先生は、ははは、と笑った。
「Aはネガティブだねぇ。そう重く受け止める必要なんてないよ?」
「うん、ほんと。まず少し休んでみて。今日ももう遅いから帰りなさい」

はい、と小さな声で返事をして、
お辞儀をして、教員室から出る。
誰もいなくなったロビーから駆け足で出たら、

「Aちゃん!」
扉のすぐ前に、のっくんが一人、立ってた。

「のっくん!どうしたの」
「どうしたの?Aちゃん待つ以外に、この場所に用なんてある?」
のっくんはいつも通り、にいって笑った。

4ばっちり→←2いいのに



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
90人がお気に入り
設定タグ:むすめん。 , MeseMoa. , 踊り手
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひな(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!コメント励みになります(;;)がんばります!! (2018年3月3日 18時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ひなさんの小説の世界観が大好きでいつも楽しませてもらってます!!更新大変だとは思いますが、がんばってください! (2018年3月3日 14時) (レス) id: a81d6c10a8 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 有栖夢子さん» ありがとうございます!頑張りますね(;;) (2018年2月28日 16時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
有栖夢子(プロフ) - いつも楽しんで読ませてもらってます!楽しみにしているので、これからも頑張ってください! (2018年2月27日 22時) (レス) id: 75b30202ba (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひな | 作成日時:2018年2月15日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。