あおいくんと双子の話1話（案）試し読み ページ10
試し読みその3
＊
カン、カン、カン、カン
踏切警報機の音で、目を開けた。
視界の影の間から、真っ赤な光が点滅して差し込む。
車内の明るい電車が目の前を横切った後、
警報音と光が止まって、レールが上がり、
車は発進した。
またうとうとしてた。
目をこすって、目を覚ます。
「A、また寝てたの？」
隣から、シートベルトを伸ばして前のめりになり、
私の顔を覗き込む、私と同じ顔。
「寝てないよ。考え事してただけ」
少し違うのは、肌が日に焼けてるところ。
夜の街を、車は走る。
見慣れた景色。家までもう少しかかる。
「かんがえごと？」
「最近、夢を見るんだ」
前の助手席に座ったお母さんが、こっちに振り返って、笑って言った。
「悪夢？それとも予知夢とか？」
碧海は、黒いスニーカーを履いた足をぶらぶらさせた。
「どんな夢なの？」
「あおいが大きなステージで、ダンスをする夢」
口から溢れた言葉からは、あまりにも、その景色が連想できない。
「えーっ！変なの！」
「そう。変なの」
「変な夢だけど、少なくとも予知夢じゃないね」
碧海は肩を竦ませた。
そうね、ってお母さんも笑う。
碧海はダンスをしてる人を見るのは好きだけど、
人見知りをするし。
でもなんだがその夢の景色が、頭から離れない。
大きな大きなステージで、数え切れない人の前で、
あおいは誰か…私の知らない人たちと、一緒に歌って踊っていた。
「あぁ、そういえばあおい。コンサートのチケット、ちゃんととれてた。二人分」
そう、こっちを見ずに言ったのは、運転席のお父さん。
え？二人分？ってあおいは聞き返す。
「俺と…A？」
「父さんとあおい」
「えっ？母さんとA行かないの？」
「その日、歌のレッスンあるから…」
私の声は、夜なのに元気なあおいの声にかき消された。
「え！いいの？うめさん、もう見れないんだよ？」
「でも…その次の日がコンテストで」
「何それ！ちょーありえない！」
そうあおいが言った直後、助手席から紙コップが飛んできて、
あおいの額にコツン、と当たって落ちた。
「いたっ」
「人がやりたくてやってることに文句つけないの」
お母さんはいつも真っ直ぐ。
あおいは紙コップを拾い上げて、私の顔をもう一度見た。
「でもさぁA？Aだって、うめさんのいるキュートのDVD、好きで何度も繰り返し観てたじゃない。コンテスト当日じゃないんだから、よくない？」
「うん…でも、いろんな人が応援して手伝ってくれたのに、ドタキャンなんて出来ないよ」
Aはあんたよりオトナなの。
お母さんはため息混じりで言った。
MuddyWaterの話第1話（案）→←みんなと幼馴染の話1話（案）試し読み
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ひな(プロフ) - 五月晴れさん» あたたかいコメントありがとうございます…！そう言って頂けると本当に助かります。少しずつ頑張らせていただきます！(*^_^*) (2020年5月17日 3時) (
レス) id: 59241e782c (このIDを非表示/違反報告)
五月晴れ - 更新、いつまでもお待ちしております。お身体に気を付けて、無理のない範囲でご活動くださいね。 (2020年5月16日 9時) (レス) id: 8f24cd8b5b (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - あとりさん» ありがとうございます(；；)コメント嬉しいです！更新頑張ります(*^^*) (2017年12月23日 22時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - ひなさんの作った小説がめっちゃ好きです！これからも頑張ってください！ (2017年12月23日 14時) (レス) id: 65a68cd78d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2017年12月23日 6時
