34 ページ34
＊
思う人によっては、意外かもしれないけど、
俺実は結構、好きな人に対しては奥手なタイプ。
人見知りもする。
この間、結婚しようとまで言ったけれど、
それはあの場のテンションと、相手が幼馴染のAちゃんだったからだ。
だからあんまり連絡してこないAちゃんに対して、
もっと連絡してきていいんだよ、
俺がもっと話したいんだから。
そんなことすら言えない、
チキンさがこんなところで発動しちゃう俺、
自分に困っちゃう。
隣のとみたんは、俺のゲーム画面を、まるで自分がプレイしているかのように見入っている。
「でもたまにさあ」
すると急に話し出したので、ちょっとびっくり。
「ん？何」
「あおいくん、何か躊躇してない？」
「……」
「Aちゃんに触れる時とか」
鋭すぎるとみたん。
「あのねとみたん俺」
「んー」
「怖いんだ」
「……」
とみたんはゲーム画面から目を離し、俺を見る。
「この前、ついに気付いちゃったこと」
・
「このままいけば俺、そのうち歯止めきかなくなる」
・
Aちゃんの認識が変わって、俺、Aちゃんに近付きたいだけ近付いて、触れたいだけ触れるようになった。
Aちゃんは全部かわいいから。
でもこれがエスカレートして、Aちゃん依存症になりそうなのが、俺は本当に怖い。
Aちゃんを傷付けそうだから。
俺の気持ちだけ行き過ぎたら、
Aちゃんは辛くなるかもしれない。
そんな気がする。
俺は今、Aちゃんが俺のこと好きな気持ちより、俺がAちゃんを好きな気持ちの方が、遥かに深く大きい自信がある。
ちょっとクサいけど！
・
「……それは」
とみたんはぼーっと、俺を見つめてた。
そのとき。
「あおいくんっ！」
ずいぶん聞き慣れた声で名前を呼ばれたので、
すぐに振り向いた。
扉の前に立っていたのは、
白服さん。
そしてその後ろに、Aちゃんがいた。
目が合った！
と思ったら、他のみんなにすぐさま遮られる。
「Aちゃんおひさー！」
「おはよAちゃん！」
みんなはAちゃんに会うたび、いつも久しぶりと言うけれど、いつも別に久しぶりではない。
「あ、えっと、今日はみんなに差し入れを」
大方、この前のお詫び、って言うんだろう。
そんなのいいのに！
この人たち、ただ世話を焼きたいからそんなにAちゃんのこと手伝ってるのに！
「だってさあおいくん？」
にやにやしながらとみたんがこっちを向くので、
もう！
「こらAちゃんいじめないでー！」
俺も立ち上がって、みんなを退けに行った。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひな(プロフ) - タケヤンさん» コメントありがとうございます！文才はあまり無いですけど読んでいただけて嬉しいです(｀▽´)頑張ります！ (2017年4月6日 7時) (
レス) id: e3490e59f8 (このIDを非表示/違反報告)
タケヤン - こういうお互い思い合っているのに上手くいかないもどかしい話を探していたので嬉しいです！これからも応援してます！更新頑張ってください！ (2017年4月5日 22時) (レス) id: cbdaf977c1 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ＊赤毛さん＊さん» コメントありがとうございます！確認したら、「MeseMoa」でした！気付いていませんでした…ごめんなさい＆ご指摘ありがとうございます(；▽；) (2017年4月4日 19時) (レス) id: e3490e59f8 (このIDを非表示/違反報告)
＊赤毛さん＊(プロフ) - お話、凄く面白かったです！あおいくんがあおいくんっぽくなってて凄いなって思いました。語彙力無くてすみませんwただ、一つだけ。「MeseMore」ではなく、「MeseMoa」だと思いますよ。そちらが正解だったらごめんなさい。 (2017年4月4日 19時) (レス) id: 99d9797f6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひな | 作成日時：2017年4月3日 21時
