開久にいる女2 【今日から俺は！！】 (ページ39)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:171,842 hit

39話ページ39

佐々木と相良の口喧嘩を聴きながら笑っている春見を、片桐は誰も居ない場所へと連れてきた。

教師「なに、私何もしてねぇけど」

片桐「本当にウチ辞めんのか？」

教師「まぁ。上の決定には逆らえねぇからな」

片桐「お前が居なくなったら、Aはどうなんだ」

片桐のその質問に、只でさえ静かだった空間がさらに静かになった。

春見は片桐の目を真っ直ぐ見ながら深いため息をついた。

教師「はぁー…、片桐にこんな事言うの怖ぇけど。

片桐、アンタここの頭だろ？
アンタがちゃんと仲間の面倒みなきゃいけねぇ。

それをいつまでも教師に頼ってんじゃねぇよ！」

片桐「……」

教師「私が辞めるって伝えた時、Aが一瞬泣きそうになった事なんて知ってるよ。

だけど、お前も相良もアイツも、他の生徒もいつかはここをいなくなんだよ。

Aが辞めさせた教師同様、私もいつかはいなくなる。
私はそれが今年の3月だってだけだ」

今まで片桐達には何も言ってこなかった春見が初めて片桐を1人の生徒として話し始めた。

教師「正直、校長から異動の話を聞いた時他の先生達に止められたよ。

Aたちを纏められるのは私しかいねぇって。

だからこそ私は行くって決めた。
ここの頭はお前だ。

仲間の不安や心配は頭が拭え。
それが頭だ。

これは教師としてではなく昔頭だったから言うけど、

お前はこんなとこにいるが、仲間思いのいい奴だ。
アイツを見守って、不安を取り除いてやれる。

お前が、Aを怪我させねぇようにあんま喧嘩に参加させねぇの知ってんだよ。
あとアイツを1人にしないように、絶対に誰か側につけておくのもな。

アンタはいい頭だ。
片桐ならAを助けられるって信じてる。

これが私の最初で最後の授業だ」

片桐「…っ、あぁ」

教師「じゃあ、Aの事をよろしく頼む。
私も最後の日まで出来ることはする。

でも忘れんな。
ここの頭はお前だ」

その言葉に思わず感謝の言葉を述べた片桐。

この日、初めて春見が片桐に物言った。

教師として、かつての頭として。

そして

1人の佐々木の友人として

片桐に佐々木の事を託した。