【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。*弍色*

78色目 ｢何時間も前のやることリストを覚えてる私偉い｣。 ページ35

｢なあ主、あの人帰してよかったのか？｣
｢いいんだよ、どうせまた数日もしないうちに来るだろうし｣

『今のところ……安全ではありませんが緊急性のある危険、というほどでもなさそうなので、今日は帰ります。何かあればすぐ連絡を。担当者として、俺はあなたの命が最優先ですから』

朱月さんの言葉を聞いた私達は朱月さんをゲートまで送り、その場に突っ立っていた。……というより、私が動かなかったから他も動かなかったという方が正しい。
そこに留まっているまま、私はゲートの向こうを寂しそうに見つめている……ように見えているんだろうな。寂しそうにかどうかは知らないが。ちょっと調子乗った。そういう表情してたら絶対私美人で儚げだろとか思っての言葉だったんだ。まァ確かに私美人だがな！いや嘘ですすみません。

とにかくそこでじゃァ私は何しているのかというと、ただひたすら考え事をしているだけだ。何を考えているのかと言われれば、それは今後のこと。

｢……やること｣
｢ん？｣
｢厨の掃除は終わった。手入れ部屋にはもう誰もいない。畑掃除と庭の草むしりは、途中だが優先順位は正直低い｣

第一部隊が出陣したあとに脳内でまとめたやることリスト。残り1つは、｢話ができそうなやつを見つける｣。そうだな、だがもう2つほどやることが出来てしまったし、そちらを先にやってしまおうか。

｢とりあえず、薬研の怪我を治療しようと思う。軽いものとはいっても絆創膏くらいは必要だろう、傷口も洗った方がいい。私が直接傷を見て、手入れをした方が良さそうであれば手入れに切り替える。そのあと……｣

そこまで言ってから、律儀に着いてきている山姥切と小夜の方に顔を向けた。何を言われるのかと警戒する視線を感じる。

｢お前達に話がある。ああ、大丈夫そんな警戒しなくていい。悪いことは言わない｣
｢どういう話をするつもりだ｣
｢ん？ そうだな、簡潔にいえばお前達2人にも第一部隊に入ってもらいたいんだ｣
｢……なんだと？｣
｢とりあえず返事だけでもいいから考えておいてほしい。ほら行くぞ、まず薬研の治療が先だ｣

私が歩き出すと、それに倣って後ろや横をついてくる男士達。なんか……カルガモみたい……ほら、私が親鳥でこいつら雛鳥みたいな……。うわ……絵面が地獄……私が親鳥はまずないわ……。
うん、余計なことを考えるのはやめよう。その方が精神衛生的にもいいよな。

79色目 ｢仲間1人増えるだけで精神的負荷はかなり減るんだよ｣。→←77色目 ｢ぶっちゃけると朱月さんの説明の方が好き｣。

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