【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。*弍色*

75色目 ｢こんのすけは時として空気であり説明が足りない｣。 ページ32

｢それにここまでやっておいて今更去ることなんて出来ないじゃないですかァ｣

自分でも無意識のうちに、朱月さんを煽るように笑みを含ませながら言い放ってしまった。ほんとこういうところぞ、私の馬鹿。

｢朱月さん、それとも、私はどうしてもここに残ってはいけないですか｣
｢……いや。Aさんがそこまで言うなら、もう仕方ないです。俺は大人しくあなたとこの本丸の担当者として、サポートをします｣
｢……すみません、ほんと強情で｣
｢昨日から、なんとなくそうだとは思っていました｣
｢ご理解頂けてなにより｣

最終的には朱月さんが折れて、この話題は終わった。たまには諦めってもんを知ろうぜ私よ。

｢……あの｣
｢小夜？｣
｢……あっちから、気配がする｣
｢気配？なんの？｣

小夜が指さす方向は、今朝私が第一部隊を見送ったゲートだった。ゲートから、気配……ということは恐らく。

｢……そうか。小夜、ありがとう｣

庭掃除してる3人のことを無視して立ち上がり、ゲートの方へ歩いていく。案の定、あいつらが帰ってきていた。

｢おかえり｣
｢おう、帰ってきたぜ！｣

真っ先に獅子王が反応する。本当に元気がいいな。ちらっとその奥を見ると、鶴丸と薬研がニコニコして立っていた。……ていうか薬研なんか怪我してない？

｢……あの、薬研｣
｢ああ、こんくらいよくあることだ｣
｢あっちゃいけない｣
｢怪我してもいいっていったのは大将だ｣
｢そんなこと言ったっけ｣
｢言ってたぞ、きみ。忘れたのか？｣

すかさず鶴丸につっこまれる。やばい、言ったかもしれない。

山姥切と小夜もくっついて来てたらしく、後ろから覗いてきた。
なんだかムスッとした様子で山姥切が私に言い放つ。

｢刀装も付けてやらないのか。やることはあいつと同じだな｣
｢……とうそう？ なんだそれ｣
｢は？｣

説明されてない……いやだが、資料には書いてあった気がする。資料には書いて……

｢……資料には確かに書いてあったような気がする。いやけどどうやって作るんだ｣
｢えっ？……刀装を作るのはあなたじゃなくて、僕達だよ……｣
｢ええぇ？そうなの？こんのす……けはいない、ちょっと朱月さーん!? 代わりに説明してくれねェかな！｣

こっちに小走りで来たのが見えたから、仕方なく聞いてみた。第一部隊を警戒しながらも呆れたように私に逆に聞いてくる

｢刀剣男士に付ける装備みたいなものです。本当に聞いてないんですか？｣

76色目 ｢考えても考えなくても球体はちょっと違うと思う｣。→←74色目 ｢約束は違えるな、それは私たちの信条｣。

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