【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。*弍色*

83色目 ｢他人の交友関係まで口を挟みはしないのが吉｣。 ページ41

｢とりあえず話すことは終わったから。自分の部屋に戻るなりなんなり、もう好きにしていいぞ。今日はありがとう｣

特に手伝ってもらうようなことも今日はもうない。私は山姥切と小夜を帰すことにした。分かった、と一言だけ発してさっさと山姥切は帰っていき、小夜もおずおずと準備を始める。

｢えー主ー、もう帰しちまうのかよ｣
｢なんだ、不満か？｣
｢不満ってわけじゃねーんだけど、もっと親睦深めるような会話しても良かったんじゃね？ って｣

口をとがらせながら、少し不満そうに獅子王が聞いてきた。

｢それは無理だろ、物事には順番ってもんがあるんだよ。全員が全員お前みたいな人懐っこいやつだと思うなよ｣
｢主の言う通りだ獅子王、焦っちゃあ良くないぜ！｣
｢んー、それもそうだな｣

口で言うものの尚納得しない様子の獅子王を見て、少し目に入った色があった。なるほどそういうことか、と口に出そうとして、すんでのところで言葉を飲み込む。
私は今日はちゃんと学習できる人間らしいから、ゆっくりと言葉を選び、獅子王にそれとなく伝える。

｢獅子王があいつらと話したいってんなら、それは獅子王の好きにすればいいよ。交友を持つのも大事だからな｣
｢！ いいのか!?｣
｢逆になんで遠慮なんてするんだよ、別に私があいつらと仲良く話せないからって、お前がそこに気を使うような必要はない。私は私のペースでどうにかするし｣

だから遠慮せず話しかけに行け、と肩を小突いたら、獅子王は安心したように笑った。


さて、と呟き、スマホ画面に表示された時刻を見る。現在16時手前。こんのすけもそろそろ帰ってくる頃だろうか。
風呂の湯も入れ始めないといけないし、今晩の食事も考えないといけないし、明日のことも考えないといけないし……。

いや……めんどくさい。ちょっと疲れた。

｢鶴丸｣
｢おっ、どうした？｣
｢私は少し疲れたから昼寝する。30分くらいしたら起こしてくれると嬉しい。あとこんのすけ帰ってきたら教えてくれ……｣
｢えっ、今から寝るのか!? きみそれはいくら昼寝でも……！ ｣

ぱたっ、と床に崩れ、そのまま目を閉じる。1度休憩の体制に入ってしまうとさらに疲れが押し寄せてきたらしく、意識が遠のいてきた。大丈夫、きっと鶴丸なら起こしてくれるだろう。


そのままほとんど気絶同然に眠ってしまった私は、自分がその後何を口走ったかも覚えているはずがなかった。

84色目 ｢夢は時に理不尽に現実と酷似する場合がある｣。→←82色目 ｢職務放棄前提の行動も時には賢明と思いたい｣。

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