次期社長のお目付役 (ページ8)

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8話ページ8

『私でよければいつでもお話聞かせてください。』

これって信用されたってことだよね？

心を許してもらってる？

『では、失礼します。』

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ー京本Sideー

初めて会った時は、また父親が秘書を派遣してきた。めんどくさそうなお目付役だ。
そう思っていた。

今までの秘書は、直ぐに付き纏ってきて質問攻めにされて、自分のペースを崩されるみたいで苦しくて、父親に言って外してもらった。

今回も若い女の子だし、どうせそうだろうと思っていた。

でも違った。

遠くの方から、俺の観察。

俺が声かけるまでは、絶対にパーソナルスペースに入ってこない。

後回しにしていた申請を代わりにやってくれたのに、恩着せがましくない。

スケジュールや申請書、領収書の申請を頼むようになってからは、完璧な仕事で、期待に応え続けている。

いわゆる、仕事ができる人だ。

接待についてきてもらったのは、ちょっとした気まぐれだった。

でも、話も上手で気遣いもすごい。

でも、どこか感じる寂しさと闇。

それがなんか心地よかった。

こんな感覚初めてかもしれない。

もしかしたら、この人になら自分を理解してもらえるかもしれないと少しだけ期待している自分がいる。

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ー深川Sideー

飲み会を境に京本部長との距離は一気に縮まった。

京本「あのさ、ここの日なんだけど、この会社行く時に手土産用意してほしくて。」

『承知致しました。こちらの会社の部長さんは和菓子がお好きとのことでしたので、栗羊羹用意しておきます。』

京本「ありがとう、。うわ。びっくりした。」

驚いたような声がして横を見ると、出会い頭で女性社員とぶつかって、女性社員が持っていたコーヒーでワイシャツとネクタイが汚れている。

『大丈夫ですか？』

京本「うん。俺は大丈夫。君はえっと、確か佐藤さんだよね。大丈夫？怪我してない？」

優しい相手の女の子の心配をしてる。

佐藤「は、はい。申し訳ございません。」

京本「別にいいよ。深川さん、行くよ。」

『あ、はい。』

確か、この後取引先に挨拶に行く予定があるはず。

『ワイシャツの替えお持ちですか？』

京本「それはロッカーにあるんだけど、ネクタイの替えがないんだよね。」

流石にネクタイつけずに行くわけにはいかないもんね。

京本「うわ、でも。会議詰まってて買いに行けないな。」