次期社長のお目付役 (ページ7)

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7話ページ7

沈黙。

なんかすごく気まずい。

何か話題。えっと、。

京本「今日は助かった。ありがとう。」

『い、いえ。お役に立てたのなら、嬉しいです。』

綺麗な横顔。

京本「深川さんってさ、俺に物怖じせずに話しかけてくるよね。」

『あ、はい。秘書なので、いちいち物怖じしてる場合じゃないというか。』

もしかして、失礼なやつだと思われてるとか？

京本「社長の息子だから。とか、気にならないの？」

『私は、どちらかというと、京本部長自体に興味があります。私は京本部長の秘書ですから。』

ちょっと笑ってる？

京本「面白いよね君。」

面白い？私が？

京本「御曹司ってだけで、変な目で見られて、結果を出せば親のおかげ、失敗すると出来損ないみたいな言い方されて、誰も俺のことなんて見てない。」

どうせわかってもらえないから、バイアス無しで見てもらえないから、人に期待しない。心を開かない。話さない。

そうやって負の無限ループをしてたんだ。

『京本部長は京本部長です。社長の息子でも関係ないです。少しだけ、周りに心を開いてみたらどうですか？意外と世界は暖かいですよ。』

京本「君にならそうしても悪くないかもね。」

え？、あ。でも。

『嬉しいですけど、私は京本部長のいいところ沢山知ってますよ。もっと部下や同僚の人にも、自分を見せるというか、心を許してみたらどうです？』

京本「人って大抵裏切るよ。」

顔もいいし、仕事もできるし、御曹司でお金持ち。

今まで、嫉妬されまくってたんだろうな。

でも、人って大抵裏切るっていうのは的を得てる気がする。

京本「否定しないんだ。」

『、はい。私もそれは同感なので、否定はできないです。』

どうしよう。

私の仕事は、京本部長をもっと会社に馴染ませることなのに、全然突破口が見えない。

京本「深川さんって考え方がどことなく俺に似てるよね。」

え？

京本「明るく振る舞ってるように見えるけど、心の奥の方に暗いものが見える。」

運転手「お客様、着きました。」

あ、本当だ。

ここまでの料金の半分だから、えっと。

京本「お金いらないから、早く帰りな。」

『そういうわけには。』

京本「じゃあさ、また話聞いてよ。」

え？話？

京本「深川さんと話していると、少し心が軽くなるから。」