次期社長のお目付役 (ページ13)

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13話ページ13

京本「この間の接待も無理してた？」

『い、いえ。無理なんてしてないです。いつでもまた同行しますので。』

京本「そう。じゃあ、オフは無理しないように。」

言ってることは優しいのに、やっぱり表情が固いからちょっと冷たく聞こえるんだろうな。

『ありがとうございます。』

京本「深川さんってゆくゆくは社長秘書になるんでしょ？俺のお目付役なんかになって災難だったね。」

お目付け役って。

私の役割、なんとなく知ってたんだ。

『あ、あの。』

京本「部長の専属？ふざけてるよね？そんなの俺にしかついてないし。」

社長の息子だからこその特別扱い。

京本部長が1番嫌がることだ。

『すみません。』

京本「なんで深川さんが謝るの？迷惑かけて悪かったね。社長秘書になるはずだったのに部長秘書なんて、降格処分みたいになってる。父親の悪い癖なんだよ。俺が社内で評判悪いから、秘書にコントロールさせようと思って、優秀そうな秘書を次々と送り込んでくる。」

そこまで気が付いてたんだ。

『やっぱり京本部長は社長向きです。』

京本「なんで？」

『人の思ってることとか、戦略を読み取れる人だからです。それに、京本部長は勘違いされやすいだけで、本当に優しくて思いやりがあっていい人です。この際、社内の王子様キャラ狙っていきましょう。』

やば。ちょっと変なこと言っちゃったかも。

ん？

笑ってる？

京本「ね、深川さんって真顔で変なこと言うよね。」

『すみません。でも、私は京本部長のいいところ、みんなにもっと知ってほしいんです。もったいないですよ。人のこと信じられない気持ちはわかります。だから、最初は信じなくていいです。信じなくてもいいから、少しずつ他の人にも心を開いているふりしてみませんか？いつかそれが嘘じゃなくなるかもしれません。』

でしゃばりすぎちゃったかも。
でも、どうにかしたい。

京本「俺が心を開いているふりをしたら、どうなる？みんながもっと俺を信じてくれる？俺自体を認めてくれる？」

『信じてくれない人を信じることはできません。人間関係はお互いの努力の上で成り立っているんです。』

ん？疑ったような顔。

京本「人はさ、結局見たいようにみるんだよ。」

え？