11話 ページ11
その日の終業後、私を待ち受けていたのは、思っていたよりも大変な着替え地獄だった。
京本「はい。次。」
え、まだ着るの？
『あ、あの。そんなにダメダメですか？』
1着も似合う服なかったってこと？
京本「え？いや。1番似合う服探してるだけ。せっかくだから。」
本当に不器用な人なんだな。
少しはこれはいいねとか言ってくれたらいいのに。
京本「俺はこれが1番いいと思う。早く着てきて。」
シンプルな黒いドレス。
シルエットがすごい綺麗。
このお店の中でも高い部類に入る洋服だと思う。
こんな高いドレス、お財布が死んじゃうかも。
でも、腕を通すとやっぱり綺麗。
『、あの。いかがでしょうか？』
試着室を出て、京本部長のところに行くと、私の姿を見て、少しびっくりした様子でフリーズしてる。
『あ、あの。』
京本「これにしようか。どう？気に入ってる？」
『あ、はい。』
カードの限度額的にギリギリ耐えるはず。
節約頑張ろう。
『着替えてきますね。』
ー京本Sideー
白い肌にシックな黒いドレスが合っていて、いつもの雰囲気とは違う感じで、一瞬フリーズしてしまった。
変に思われてないといいけど。
京本「すみません。さっきの服を1点お願いします。」
店員「かしこまりました。先程、彼女さんが来ていたものと同じサイズでご用意いたします。」
彼女ではないけど、まあいいか。
店員「お会計先にされますか？」
京本「はい。じゃあ、カードで。」
店員「かしこまりました。結婚式か何かですか？彼女さんとてもお似合いでしたね。」
一回彼女ってことを否定しなかったし、嘘つき続けないといけないのか。
さっき否定しておけばよかった。
京本「パーティーがあるんですよ。」
店員「あら、素敵ですね。可愛らしい彼女さんですね。」
京本「はい。」
ー深川Sideー
試着室から出てくると、ブランドのショッパーを持って、京本部長がスマホを見ながら待ってくれていた。
『すみません。お待たせしました。』
京本「じゃあ、行こうか。」
、え？
『あ、あの。お会計してきてもいいですか？』
京本「もう終わってるから。」
え、払ってもらっちゃったってこと？
『すみません。現金でその値段は流石に今持ってなくて。、明日でもいいですか？』
京本「払わなくていいよ。」
え？
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作者名：Akane | 作成日時：2024年3月14日 13時
