次期社長のお目付役 (ページ2)

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2話ページ2

『本日付で、京本部長の秘書になりました。深川と申します。よろしくお願い致します。』

沈黙。鋭い目。確かにこれは怖い。

女性でも、美人って冷たく怖く見えたりするよね。

京本「専用秘書なんて必要ない。社長には、俺から言っておくから。」

初対面で、あっさり拒絶されてる。

私仲良くなれる気がしない。

『いえ。辞令が出ておりますので、秘書をやらせていただけますと幸いです。』

京本「あっそ。勝手にすれば。」

機嫌が悪いの？それともいつもこれぐらいクールなの？

京本「何？」

『あ、いえ。では、何かあればお呼びください。領収書等の処理もこちらで行いますので。』

彼を担当していたグループ秘書によると、スケジュールも何もこちらには管理させてもらえないらしい。

全く考えてることが読めない猛獣使いになった気分だ。

それから1週間彼の観察に勤しんだ。

わかったことは4つ。

冷たいように見えて、そこまで突き放しているような感じはない。おそらく彼がビジネスライクに接するせいで勘違いされているだけだ。

携帯のロック画面はおそらく愛犬の写真。ヨークシャーテリアの可愛い子だ。

見ていないようで、周りの社員のことをよく見ている。体調を崩していれば、早退できるように陰で根回しするし、悩んでることがあれば、悩みを遠回しに聞き出そうとする。

トマトが好き。食堂にトマトパスタがあれば必ず注文するし、トマトサラダも必ず食べている。

社長の素質がないというのは間違いだと思う。

しかし、勘違いされやすい性格は良くない。

京本「ねえ。」

あれ？

さっきまで、あっちでご飯食べてたはずなのに。

『はい。』

京本「俺のこと、嗅ぎ回ってどういうつもり？」

バレてた？

さすがの観察眼。

『そのようなつもりは。』

京本「じゃあ、どういうつもり？」

ここは一か八か本当のことを言ってみよう。

『京本さんがどういう方か知りたかっただけです。不快な思いをさせてしまったのなら、謝ります。申し訳ございませんでした。』

表情が読めない。

京本「俺のこと知ってどうするつもり？」

『私は京本部長の秘書です。京本部長を知って、きちんと京本部長に貢献したいと思っております。』

納得したっぽい？

京本「俺はどういう人？」

え？

京本「1週間見たなら、わかるはずだけど。」