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『京本さん!』


あまり人通りの多くない、いつも彼女に会う場所
綺麗な声が俺を呼ぶ



『おはようございます!』



こんな可愛い顔で笑われたら
こっちの頰も無意識のうちに緩んでしまう。

客とは違うな、なんて当たり前だけど


「おはよう」


仕事何してるんですかなんて聞かれたらどうしようか。
昨日この子と別れてからずっと考えてた。




『あの、これ、昨日言ってたお礼なんですけど

なに渡せばいいかわかんなくて…



クッキー焼いてきました』



Aちゃんがおずおずと差し出したのは
丁寧にラッピングされた美味しそうなクッキー



「え、ありがとう」



手作りか。すごいな。



「今日も学校?」



制服姿をみればわかる。



『はい。でもまだ電車の時間先だから、大丈夫です』



華奢な腕に巻かれた細い時計をみて笑う。



「じゃあ家ここらへん?」



何気ない質問だったけど、
言ってしまってから気持ち悪いなと気づく。
焦ってAちゃんを見ると



『はい!すぐそこ曲がったとこのマンションですよ』



何も気にしてないんだな。
気持ち悪がられなかったのはいいけど、もうちょっと危機感持ったほうがいいと思うな



「そうなんだ。
俺はもう少しまっすぐ行ったとこだよ」



『1人暮らしですか?』



「うん」



『いいな〜!
私も大学生になったら1人暮らししたいんです』



目をキラキラさせて
俺がAちゃんくらいの歳の時はこんなに夢や希望に満ち溢れてなかったなって、ちょっと羨ましい。



「1人暮らし、大変だよ」



別に大変なことなんかないけど



『京本さん、料理苦手なんですか?』


「まぁ。得意じゃないけど」



あいにく今はご飯を作りに来てくれるような彼女はいない。
カップ麺ばかりの日もある



『彼女さん、とかは?』


「いまはいないんだよね」



俺がそういうと、
Aちゃんはもともと大きな目玉が零れ落ちそうなくらい目を見開いて



『え!こんなにかっこいいのに!』



かっこいいなんて、言われ慣れてるのに



「…そんなことないよ。」



客に言われた時は気持ち悪いとしか思わないのに、お世辞だとしても嬉しくなって。
本当に俺は単純だな。



『でもいまフリーなら、モテモテなんじゃないですか?』



ニコニコと楽しそうで

俺のことなんかどうでもいいのに
俺はAちゃんのことを聞きたいのに








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ライ(プロフ) - 羽來さん» コメントありがとうございます!樹くん人気ですね!参考にさせていただきます! (2018年2月3日 11時) (レス) id: 23b54920b4 (このIDを非表示/違反報告)
羽來(プロフ) - 樹くん希望でお願いします、! (2018年2月3日 0時) (レス) id: 83bbe22959 (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - Nanaさん» コメントありがとうございます!参考にしますね! (2018年2月1日 23時) (レス) id: 23b54920b4 (このIDを非表示/違反報告)
Nana(プロフ) - 樹がいいです! (2018年1月31日 23時) (レス) id: 8d3e23de00 (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - szkさん» コメントありがとうございます。樹ですね、参考にさせていただきます! (2018年1月29日 19時) (レス) id: 23b54920b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:K__nr | 作成日時:2018年1月13日 14時

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