17.知らない姿(a.a.side) ページ17
その言い方は、言葉の内容とは真逆の軽々しいものだった。
「まぁお前は勘鋭いし、いつか気づかれるやろうなーとは思ってたけどなぁ。」
「俺はAを手に入れたい。ただそれだけやで。」
「そりゃ自分でも驚いとるで？まさかここまで1人の女に執着するなんて。」
「昔から欲しいものは絶対手に入れる主義やねん。例えお前が敵に回ったとしても、俺はAを自分のものにするつもりや。」
全てを楽しむかのようにあごを少し上に向け、空を仰ぐように教室を歩き回りながら
次は自分の番ですと言わんばかりに大量の重い言葉で俺を殴ってくる。
これが…拓也の本性？
この前みたいに、Aの呼び方も変わってるし…
「なら、なんで俺がAと二人三脚やるってなっても邪魔しなかったん？こういう時こそ「俺がやる。」って言いそうやのに。」
張り詰めた空気の中、やっと出てきた声は上擦ったまま。
鉛のように重い拓也の感情に吐き気がして、正気を保っているのもやっとの状態だった。
「んー、まぁ俺は俺でやる事あるし…別にそこは彬に譲っても問題ないねん。それに、お前Aのこと好きやろ？」
「はっ！！？」
突然気持ちを当てられたことに戸惑っていると、拓也は「ふっ、分かりやすいんよ。あきらは。」と笑いながら呟いた。
意味がわからん…まだなんか企んでるのか？
「じゃ、俺はもう行くで。」
「ちょっ、まだ話は終わってない！！」
俺はドアに手をかけて教室を出ようとする拓也の腕を掴んで声を荒らげた。
せや、今日はまだ拓也に1番言いたかったことを言えてへん。
「そっちがその気なら俺だって色々やらせてもらうからな。拓也の好きなようにはさせへんで。」
今度は上擦っていない、芯のある声が出た。
この思いは絶対に変わらない。Aは、俺が守る。
宣言を聞いた拓也はまた大きく目を見開いたが、すぐ首を後ろに反らせながら引きつったような声で笑い、教室中の窓をしびれさせた。
「別にええよ。何をしようとそれはお前の勝手やし。ただA渡さんで。
あ、あと俺も言い忘れてたけど…スタジオ練の時の、見たんやっけ。
…俺の大事な大事なペット、可愛かったやろ？」
「…っ！！！」
高ぶった感情に任せて胸ぐらを掴もうとしたが、拓也の笑顔を見た瞬間体が思うように動かなくなる。
「また明日な。」
俺は、ただ教室を出る拓也の後ろ姿を眺めることしか出来なかったのが何よりも悔しかった。
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鏡花(プロフ) - みるふぃーゆさん» ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞわざわざコメントありがとうございます……更新頑張ります……！！ (2021年3月1日 18時) (
レス) id: 06f9fd4453 (このIDを非表示/違反報告)
みるふぃーゆ(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです！！続きが更新されるのが楽しみです^_^ (2021年2月28日 21時) (レス) id: ed7d8d6f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡花 | 作成日時：2020年10月11日 11時
