高校生活というのは追いかけっこでは断じて無いはず【天童覚】

ページ１７「『怪童牛島』」 ページ19

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牛島、と発した瀬見くんの言葉に、とある話が脳内(のうない)を過(よ)ぎってそう口から零(こぼ)れる。


中学時代の今も連絡(れんらく)をとっている友人が話していた人物の話。


圧倒的(あっとうてき)な力で捩(ね)じ伏(ふ)せられる。付いた呼び名が怪童(かいどう)、『怪童牛島』。



確(たし)か男子バレー部の友人は、打倒(だとう)牛島、打倒(だとう)白鳥沢を目指(めざ)してやっていた。



そうすると牛島は白鳥沢男子バレーに属(ぞく)していて、中学の話で、だから白鳥沢中等部(ちゅうとうぶ)だ。


となると、白鳥沢高等部(こうとうぶ)にそのまま上がったなら男子バレー部の瀬見くんの話している難無(なんな)くこなすバケモン若利、苗字(みょうじ)が『怪童・牛島』と同じな牛島若利は同一人物である可能性(かのうせい)が高い。



そうあたしは結論(けつろん)付(づ)けた。






「Aちゃん――若利くんの事知ってたの？」


あたしの言葉に目を開いた二人。そして覚がそう訊(たず)ねてくる。

覚の言葉にやっぱり同一人物だったか、そう脳内(のうない)で思った。




「バレー部の友人が中学のとき打倒白鳥沢、打倒怪童牛島って意気込(いきご)んでたんだよ。

白鳥沢中等部ならそのまま白鳥沢学園〔ここ〕に上がっているのが普通(ふつう)、それで友人はバレー部なんだから怪童牛島も男子バレー部。

それから苗字の同じな怪童牛島は、瀬見くんの話してる牛島若利とやらと同一人物である可能性が高い」



下を見ながら語っていたあたしは、顔を上げて二人を見る。





「結果、同一人物だったわけね」

 二人を見ながらそう言い放つ。



すると二人は「すっごいねAちゃん！」「箭野探偵(たんてい)かよ！」

と絶賛(ぜっさん)してくる。


誰でも考えつくだろうことなのに何言ってるんだ。






「それでAちゃん、友人って誰かな？」






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