落ちる、落ちる 3 ページ33
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臨場の授業の際に身長を高く答えたのも，好意からではなく，田澤に脅威を抱いていたからだった。
脅していたのは，田澤の方だったのだ。
そこまで言うと，訓練塔を後にした風間。
残されたのは田澤，杣，比嘉，そしてAの４人だけ。
「比嘉君，お願い…助けて！早く！
助けなさい！早く引き揚げなさいよ！！
大鷹さんも何やってるのよ！手を貸しなさい！！」
我を忘れたように喚くと，Aの脚を掴み，下に向かって引っ張る田澤。
急に掴まれた衝撃と驚きでバランスを崩し，Aの身体が大きく揺れ，下で様子を伺う生徒たちからは悲鳴が上がる。
『ふ，副教官…っ！』
「早く！手を貸しなさいよっ！」
パニックにより豹変する田澤に一瞬怯むも，杣に掴まれていることに安心しているのか，手すりを掴んでいた左手を離し，田澤に向かって伸ばす。
その手を強く掴んだ田澤。
田澤の身体は左手を比嘉に，右手をAに支えられている状態だ。
「危ない！やめろ！」
『でも，今手を離したら田澤教官が落ちちゃう…！』
出した手を引くことはできなかったA。
だが，田澤の重みでどんどんしゃがみ込んでしまう。
ついには汗ばんだ手がじわりじわりと滑りはじめ，田澤の身体も少しずつ下に滑っていく。
「っ、ごめんなさいっ…！」
『ダメ！比嘉君！離さないでっ！！』
他人の命を無理やり預けられたこと，副教官に陥れられたこと…。
極限の状態で，心身ともに限界を迎えた比嘉が田澤の手を離そうとしたものの，Aの呼びかけでなんとか再び腕に力を入れる。
しかし，このままでは複数人で転落してしまう危険がある。
「…比嘉，絶対副教官の手を離すなよ。」
一度Aの手を離し，手すりを掴ませると，今度は手すりの柵と柵の隙間から上半身を外側に出した杣が，後ろからAを抱きかかえるような体勢で支え，A越しに田澤の腕を掴む。
「比嘉，一気に引き揚げるぞ。
…大鷹さん，後少しだから頑張れ。」
「っ、分かった。」
その後は比嘉と杣の力で田澤をなんとか訓練塔の中まで引き揚げる。
「ごめんなさい…。あなたたちが羨ましかったの…。
ひどいことをした…。本当にごめんなさい…。」
憔悴した様子で涙を流し謝罪する田澤。
長時間吊られる体勢になったため，肩を脱臼したらしく，地上から駆けつけた消防隊員によって病院に救急搬送された。
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まるちゃん(プロフ) - KaNaNaさん» コメントありがとうございます！最後まで読んでくださり、ありがとうございます！これからも、こちらに遊びにいらしてくださいね。ありがとうございます！ (2021年2月11日 11時) (
レス) id: 727445f91f (このIDを非表示/違反報告)
まるちゃん(プロフ) - ナミヲさん» お名前にクスッと来てしまいました。向井さんのファンでしょうか？コメントありがとうございます！番外編も面白そうですね！検討してみます！ (2021年2月11日 11時) (レス) id: 727445f91f (このIDを非表示/違反報告)
KaNaNa(プロフ) - 完結おめでとうございます！とっても面白かったです！これからも頑張ってください！ (2021年1月29日 22時) (レス) id: d8ec937809 (このIDを非表示/違反報告)
ナミヲ - 完結お疲れ様でした！！2人のその後など番外編読みたいです！！ (2021年1月29日 20時) (レス) id: 7912cad76d (このIDを非表示/違反報告)
まるちゃん(プロフ) - さつちさん» コメントありがとうございます！あともう少しで完結するので、お付き合いよろしくお願いします！あたたかいお言葉、ありがとうございます！ (2021年1月27日 18時) (レス) id: 727445f91f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まるちゃん
| 作成日時：2021年1月16日 22時
