【暗殺教室】ねじれの位置【磯貝悠馬】 (ページ47)

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ねじれの位置が45つページ47

着替え終わってから各々広げ始めるお弁当はどれも彩り豊かで綺麗だった。そんな中私は今日もコンビニで買ったメロンパンと餡パンを机の上に出してメロンパンの方の袋を開いて、食べ始める。

「おい、見ろよ！」
「ビッチ先生が殺る気だ！！」

なんで声と共にわらわらと窓側の方に生徒が集まる。

「ほらAちゃんも行こ」
「え……」

いつもの如く手を取られたのに今日は手のかたちも、温度も違う。一回り小さい手と、柔らかい肌質。矢田桃花だ。

半ば引き摺られていく形で窓側に向かうと其処には木に凭れ掛かる烏間先生とそれを襲いに来たビッチ先生。

「正面から！？」

矢田桃花と一緒に居た片岡メグが驚きの声を上げる。隣の倉橋陽菜乃も驚嘆の音を漏らした。

普通なら有り得ない。ナイフを堂々と見せ付けて手練に斬り掛かるなんて無謀過ぎる。確かにビッチ先生も場数を踏んでいるプロだ。でも、彼女の専売特許は今は通用しない。

だがしかし、此処は暗殺教室。
生徒がもう少し単純であったならこの教室で彼女は此処で先生なんてしていない。
彼女がもう少し諦めが悪ければ此処で先生なんてしていない。

「残留決定、かな」

え、片岡メグが声を上げる。その瞬間外の世界は一変した。烏間先生の体制が大きく横転したのだ。その上に跨るビッチ先生。体の角度を見る限り刺しに行ったのだろう。

しかしとある場所を境に固まってしまう。
恐らく烏間先生が本能的にナイフの手を止めたのだろう。

「うそ……」

化け物並みの瞬発力に驚いたのか、ビッチ先生の残留が危うくなった悲しさからなのか、矢田桃花はそんな声を漏らした。

何度も言うが、此処は暗殺教室。
標的の殺し方なんて問う必要は無い。

「あっ…うそ」

今度その言葉を述べたのは倉橋陽菜乃。確かにその光景は普通ならば信じられない光景だ。

「ビッチ先生だって馬鹿じゃない。1度使えなかったハニートラップを何度も使う訳が無い。でもそれしか自分には能が無い」

私は息継ぎの間に落ちた髪の毛を人差し指に置いて耳に掛け直す。

「なら新しい能を習得するしかない」

あの怪物を殺したいのは生徒だけじゃない。先生も一緒だ。だから何度だって挑戦するし何度だって失敗するのだ。

「へぇ、凄いね。Aちゃん！」
「……は？」

今褒めるべきなのはビッチ先生だろう。

「クラスの事ちゃんと見てる！」

すぐ隣に居る倉橋陽菜乃はそう言って笑った。
意味が分からない。私は特に返事もせず彼女から目線を外した。