【暗殺教室】ねじれの位置【磯貝悠馬】 (ページ42)

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ねじれの位置が40つページ42

「おはようございます皆さん」

脂汗を掻くのは怪物だけでは無かった。転校初日と姿形が戻ってしまった自律思考固定砲台は冷たい表情をしながら笑った。

「生徒に危害を加えないという契約だが…''今後は改良行為も危害と見なす''と言って来た

君等もだ。彼女を縛って壊れでもしたら賠償を請求するそうだ」

持ち主の意向。烏間先生はそう言って子供を納得させた。まぁ、そうなるだろう。そう思っていた生徒もいる筈だ。所詮彼女は兵器。殺意以外の感情はいらない。

「自分よりも感情がある機械が普通に戻って安心した？」

いつもの様に隣から聞こえて来る声は、いつもより尖っている様な気がした。
思わぬ所から図星を付かれて喉が震える。

「磯貝とも休戦してるし、そろそろ突っ込んでいこうかと思ってさ」

彼は此方を向かない。つまらなそうにいちご煮オレを飲んでいる。相変わらずとも言えるその行動が今は少しだけ腹が立つ。

「……別に」

彼が見ていない隙に、私はぎゅっと拳を握った。
自律思考固定砲台が人間味を帯びたのが嫌だった訳では無い。クラスに受け入れられるならそれで良いと思った。只、私は機械をクラスメイトとして受け入れられる程心が広くないだけ。彼女が戦争を引き起こす軍事兵器な事には変わりない。

そんな会話を、じっと見つめている奴が1人。

それから当たり前の様に授業が始まった。
作られたルールに従うしか無い私達は半ば諦めモードで転校生を受け入れる。

「あ、始まる」

カルマのその声と共に隣の隣の席に居る自律思考固定砲台はダウングレードを始める。殺る気だ。あの傍迷惑な射撃と共に生活をする日々が始まるというのか。

「めんどくさ」
「あ、小野寺ちゃん言っちゃった？」
「事実を述べて何が悪いの」

率直な感想を述べてもこの機械には通用しないのだから。大きなモーター音を響かせる。射程圏内の生徒が弾丸を防ぐ構えを取った。

────ジャキッ

「花を作る約束をしていました。

殺せんせーは私のボディに計985点の改良を施しました。
その殆どはマスターが暗殺に不要と判断し、削除・撤去・初期化してしまいましたが…

消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました。」

銃の代わりに花束を見せた彼女はプログラミングされた笑顔で言葉を連ねる。
……つまり、それは。

「私の意思で産みの親に逆らいました」

自律思考固定砲台という名のAIは、マスターに逆らった。

軍事兵器が、3年E組のクラスメイトに加わった瞬間である。