ねじれの位置が38つ ページ40
今日から来た転校生暗殺者、自律思考固定砲台。彼女は四角い機械だが転校生としてこの3年E組に席を置いている為、例の怪物は彼女に抵抗出来ない。
ルール違反である授業中の発砲に牙を向く怪物。彼が超生物なら相手は機械。そんな舐めた口も効いてはいられない。
「気を付けます。続いて、攻撃に移ります」
「彼奴日本語分かってんの？」
「ノルウェーから来た外国人に日本語なんて通じないよ」
そんなアイロニーを混ぜて笑い飛ばしている間にも転校生、自律思考固定砲台は自分の進化を説明していく。
「……懲りませんねぇ」
なんて笑った瞬間、先刻と全く同じタイミングとバランスで射撃をしていく。奴も同じ形で最後の弾をチョークで弾く。
「…はっ、マジで」
カルマの声なんか聞こえない位驚いた。他の生徒もそうだ。チョークを弾いた触手の1本が怪物の手から消えている。
────ブラインド？
全くおなじ射的の中にあの怪物の四角から1発だけ放つ様にプログラミングしたのか。
「思ったより、ヤバい子かも」
入力済みの微笑みを向ける転校生は、次の進化の為に準備を始めた。
甘く見ていたのかもしれない。いや、認識が間違っていたとも言える。目の前にいるのは只の機械じゃない、紛れも無く殺し屋だ。
防衛省が作った最新軍事技術を、私達は甘く見ていた。
しかし、これで殺せる程単純な教室だったら奴はもうとっくに死んでいる。
1時間目終了後、まず目に入ったのは床に散らばった弾丸。歩くと滑りそうな程落ちているそれに溜め息を漏らさない生徒は居ない。
「これ、俺等か片すのか」
「掃除機能とか付いてねーのかよ、固定砲台さんよお」
飛び出した弾丸の分だけ床に散らばる弾丸の数も増える。
なるほど……これは少々厄介かもしれない。
「思ったより散らばってるなぁ、まぁフェイント弾とか色々撃ってるからかな」
箒と塵取りを持って苦笑を浮べるのは悠馬。いつの間にかこっちまで来ていたらしい。
「これが50分間の発砲数、あと5時間で学習してこれより増える可能性もある」
「それは嫌だな」
私は悠馬から塵取りを取ってカツカツと弾丸を流し込んで行く。そう、今日のこの1時間だけならまだ我慢出来る。しかし此処は暗殺教室。あの超生物が倒せるまで、機械仕掛けの発砲は続くのだ。
────────
お詫びと訂正
小野寺Aさんが「先生」「殺せんせー」と述べていた部分を「怪物」「奴」「センセイ」などに直させて頂きました。
お詫び申し上げます。
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作者名：詩季 | 作成日時：2019年1月6日 19時
