ねじれの位置が34つ ページ36
続 潮田渚side
磯貝君と小野寺さんが居なくなってから僕等の教室に入って来たのは目鼻立ちがくっきりした男の人。殺せんせーや他の先生の姿は未だ見られない。
「貰っても良いかなって何？
可愛い子誘拐して遊ぶって…もしかしてだけど叔父さんってロリコン？」
カルマ君がまた相手を煽る様な言葉を連ねる。彼は笑顔のまま固まった。癇に障ってはいる様だけど、冷静さは失っていないらしい。
「ロリコンでは無いよ、日本ではこういう状態の事を家の事情って言うんだっけ」
ニコニコと笑いながら摩訶不思議な言葉を述べる。
''家の事情''
その男の人は小野寺さんとの関係をそう言った。幼馴染みだという前原君に説明を求めようと皆の目線が集まるけど彼は首を左右に降って知らない事を示す。
じゃあきっと、磯貝君が言っていた急に態度が変わった時の事なんだろう。
「それで、答えはどうだろ？輪を乱す彼女が居なくなる事は、君らにとっても良い事だと思うんだけど」
どうして小野寺さんの生活状況を知っているのだろうか。たしかに、彼女はこのクラスでは少し浮いている。でもだからといって居なくなって欲しいとは誰も思っていない筈だ。
「アンタねっ！そんな風に思う訳ないじゃない！」
そう声を上げたのは片岡さんだ。彼女もまた、小野寺さんを気に掛けている1人だ。
「えぇ片岡さんの言う通りです、私のクラスに居なくなって良い生徒なんて居ません」
瞬間。
聞き覚えのある声、ずっと心の底で求めてた声がした。扉の前に立つのは巨大な黄色い超生物。
「殺せんせー！！」
思わず叫んでしまった。でも、僕の他にも安心したクラスメイトは絶対に居る。殺せんせーは触手を立てて中に入って来た。
「私の生徒は皆良い子で必要な子ばかりです。
小野寺さんに何か用なら、まず担任である私に話を聞かせて下さい」
後ろで烏間先生が溜め息を吐いた。彼も今此処に到着した様だ。それから床に座り込んでいる茅野の近くまで行き、様態を確かめる。
「……担任？ていうか、君は何？」
男の人は眉を顰めてそう言った。
当然だ、フォルムはタコなのにこんなに大きくて黄色い物体なんて見た事が無い。
……ていうか、先生姿見せて大丈夫なの？
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作者名：詩季 | 作成日時：2019年1月6日 19時
